大日本印刷(DNP)は、UHF帯ICタグと顔認識装置と組み合わせて、万引きを防止する商品監視システムを開発し、丸善・丸の内本店の洋書売場にシステムを設置、5月より2012年4月まで共同で実証実験を行うと発表した。

このシステムは、ICタグを商品に貼付し、未精算の商品を持ち出した場合、店舗出口のタグ検出用アンテナがICタグを検知して、その人物の顔を監視カメラで撮影。その人物が再び来店した時に、顔認識装置で照合した結果を店員などに通知し、警戒を強化することにより万引きを防止するというもの。

タグ検知用アンテナ

天井に取付けたタグ検知用アンテナ

UHF帯ICタグ用のシステムは通信距離が長いため、タグ検知用アンテナを通過していない周辺の商品を検知し、反応してしまうことがあり、検知精度の向上が課題となっていたが、今回DNPは誤検知することなく商品を監視するシステムを開発した。

システムは、UHF帯ICタグの応答波形の強弱によりタグ検知用アンテナを通過した商品のみを判別する機能と、監視カメラの顔画像により人物を認識する機能を組み合わせたもので、未精算の商品を持ってタグ検知用アンテナを通過した場合、その日時と商品の情報、持ち出した人物の顔画像を記録する。そして、該当する人物が再来店した際、店舗入口に設置した監視カメラと顔画像認識装置により、店員や警備員に警告する。

監視カメラ

今後DNPは、丸善書店での実証実験を通じてシステムの効果検証を行い、在庫管理や販売・貸出管理などにUHF帯ICタグの導入が始まっている書店やアパレルなどの流通業界やレンタル事業会社、図書館などにシステムを販売し、さらなるICタグの事業拡大を目指すという。