販売業者のグローバルな共同調達網

スピーディーな調達を可能にしているのは、販売業者らがグローバル規模で構築している"共同調達網"の存在だ。前回、アメリカの業界団体や欧州の業界団体について触れたが、前者には世界500社超、後者には世界170社超の企業が参加している。そうした企業らがセカンダリー市場の在庫情報をやりとりし、各国の需要に応じてIT機器を流通させているのだ。

国内の主要プレイヤーは、Webサイト「オットダイレクト」を運営し、SIなどのソリューション事業も手がける国際産業技術、国際産業技術と同じく「リユースサーバ」を運営し、EOSL/EOL保守サービスも展開するデータライブ、IBM/Lenovo製品を得意とするグローバルベンダーのI.T.Xchange Japan、シスコシステムズ製品を得意とするアプライドテクノロジー、Webサイト「IT Express」を運営するゲットイットなど。

それぞれの企業が展開するWebサイト上では、ユーザーが在庫情報や価格、サービス内容を確認できるが、要望に沿う製品がない場合でも、企業間で情報を照合しあいながら、ユーザーの元にIT機器をスピーディーに届けられるような仕組みを作っている。これは、国内に限ったことではなく、海外のどの店舗/物流センターに在庫があるかといった情報も随時共有されている。

プライマリー市場では、消費者ニーズや需要を予測しながら、メーカー各自が生産調整や在庫調整を行なう必要があり、新品の納期に時間がかかってしまうのはある意味でやむを得ないことだ。一方、生産が終了した製品を主に扱うセカンダリー市場では、ユーザーが特定の目的を持って特定の製品を調達するケースが多いため、物流スピードの向上に最大限の力を注ぐことができる。実際、「3日納期」といった驚異的なスピードは、販売業者各社の共同調達網によって可能になったと言える。

セカンダリー市場を活用することが一般的な海外と比較すると、国内ではまだ市場が立ち上がり始めた段階だ。販売業者がリース会社やメンテナンス会社とどう協同していくか、その際の部材調達/提供をどのように行なうかなど、業者内でも試行錯誤を続けているところだという。一方、ユーザー側でも、"中古"に対するマイナスイメージが先行し、稟議が通りにくいというケースは少なくない。

だが、すでにいくつかの先行企業がセカンダリー市場を活用し、また大手企業の間でも試験導入が始まっていることを踏まえると、セカンダリー市場が今後有望な調達先として存在感を増すことは大いに期待できる。2011年が「国内セカンダリー市場元年」となるかどうか注目しておきたい。