ブロケード コミュニケーションズ システムズは2月18日、同社が提唱するイーサネット・ファブリックの実現に向けてチャネルパートナーのビジネスをより一層支援するため、「Brocade Alliance Partner Network」(以下、APN)プログラムと「Global Education」カリキュラムを強化したと発表した。同社のパートナープログラムは競合他社のそれとどう違うのだろうか?

イーサネット・ファブリックが実現するクラウド時代のネットワーク・アーキテクチャ

米ブロケード コミニュケーションズ システムズ ワールドワイド・チャネル担当バイスプレジデントのバーバラ・スピチェック氏は、今回強化されたパートナー向けプログラムについて話す前に、同社が提唱するネットワーク・アーキテクチャについて説明を行った。

同社は昨年、仮想化やクラウドコンピューティングにおける新たなネットワーク・アーキテクチャとして「Brocade One」を発表した。Brocade Oneの柱となるテクノロジーが「Brocade Virtual Cluster Switching(VCS)」であり、VCSを構成する重要な要素がイーサネット・ファブリックだ。VCSを構成する要素はイーサネット・ファブリックのほか、「分散インテリジェンス」「論理シャーシ」の2要素だ。

同氏は、「VCSではネットワーク階層が統合され、複数のファブリックを1つのスイッチとして管理可能になるため、運用管理の手間が低減される」と、VCSのメリットを強調する。

VCSを搭載した製品の第1弾として、「Brocade VDX 6720」が昨年の11月に発表されたが、グローバルではすでに1つの拠点で100台規模の導入実績があるなど、多くの顧客からたくさんの引き合いがあるという。

ブロケード コミニュケーションズ システムズ パートナー営業部 第3営業部 部長の平尾充啓氏も、「今日のデータセンターでは、"リソースの効率化""運用管理性の向上""仮想化サーバへの対応"といった新たな要件に対応するネットワーク・アーキテクチャが求められているが、それを解決するのがVCS」と語る。

パートナーの利益を最大限にするためのプログラムを発表

同社のパートナープログラムはグローバルで共通であり、「オープン性」を特徴とする。同社のネットワーク・アーキテクチャを核にハイパーバイザー、サーバ、ストレージの各ベンダーとパートナーシップを結んでいる。

さらにスピチェック氏は、APNプログラムについて、「当社のパートナープログラムは他社とは異なり、パートナーの数ではなく質に重きを置いている。また、少しでもパートナーが最大限の利益を得られるよう、さまざまな施策を行っている」と説明する。

今回は、インセンティブ取得のための売上条件の撤廃、認定技術者数の条件の見直し、「Brocade Value Incentive Program」の導入、パートナー支援ツールの拡充などが実施された。

Value Incentive Programは、パートナー各社の特性や注力するビジネス分野、スキル、売上規模に応じて柔軟かつ段階的な支援を提供するための販売支援金だ。リセラー向けとディストリビューター向けとに分かれている。

リセラー向けのVIPは、「ネットワーク・インフラストラクチャ」「データセンター・インフラストラクチャ」「アプリケーション・デリバリ」「仮想化ファブリック」という4つの資格の取得状況に応じてインセンティブを受け取る仕組みとなっており、技術色が濃い。

これらのうち、仮想化ファブリックはイーサネット・ファブリック・アーキテクチャの設計、実装、メンテナンスに深い理解を持つパートナー企業、特に仮想化/クラウド環境向けのデータセンター・ネットワーク分野に強みを持つAPNパートナー企業を認定するもので、今回追加された。

一方、ディストリビューター向けVIPは、「ベースインセンティブ」、「二次店のリクルーティング目標」、「パートナー個別に設定するビジネス目標」という3段階から成るプログラムで、達成レベルに応じてインセンティブが支払われる。

さらに同社は今回、新たな技術認定資格として、「Brocade Certified Ethernet Fabric Engineer」(ブロケード認定イーサネット・ファブリック・エンジニア、略称:BCEFE)」を発表した。

BCEFEは、イーサネット・ファブリックの理論・コンセプト、その実現に必要な技術を搭載したスイッチ「Brocade VDX」の特徴や導入・設定・管理、およびトラブルシューティングまでの実践的スキルを習得していることが認定された技術者だ。

同氏は競合他社のパートナープログラムとの相違点について、「競合他社の場合、認定資格取得などのための教育プログラムを受講する場合、パートナーが費用を払わなければならない。しかし、当社の場合、パートナーのレベルにもよるが、無償で受講することが可能だ」と、話す。

一方、平尾氏は国内のパートナーの状況について、こう語る。「Brocade VDX 6720」を発表したことで、これまでSAN製品のパートナーとしてお付き合いしていたベンダー各社がIP製品のパートナー契約も結びたいと言っている」

イーサネット・ファブリック、VCSといった新たな概念についても、「もともとSANでは当たり前だったテクノロジーをIPの世界に持ち込んだだけなので、技術者の方の理解を得ている。また、これまでのSANの実績から、イーサネット・ファブリックに対する期待も高いようだ」と、同氏は自信を見せる。

グローバルで主要なネットワークベンダーとして、競合に対する明らかな差別化の要素を盛り込んだテクノロジーとパートナープログラムを提示してきたブロケード コミュニケーションズ システムズ。これから、クラウドコンピューティングの普及がますます加速することが見込まれる今日、同社の戦略がどう花開くのか注目したい。

左から、ブロケード コミニュケーションズ システムズ パートナー営業部 第3営業部 部長 平尾充啓氏、米ブロケード コミニュケーションズ システムズ ワールドワイド・チャネル担当バイスプレジデント バーバラ・スピチェック氏