インターネットに新たな可能性を示し、コンテンツをよりリッチにする技術のひとつであるFlash。従来以上にインタラクティブなものを提供することが可能となった今、これからのFlashは何処へ向かうのか。クリエーター/ディベロッパーならずとも気になるFlashの今後について、アドビ システムズで長年Flash Platformの開発に携わってきたマイク・チャンバーズ氏に訊いた。
マクロメディア在籍時からFlashの開発に携わってきたチャンバーズ氏。現在は、Flash Platformのディベロッパー関係を担当するプリンシパル プロダクト マネージャーとして活動する傍ら、Flashコンテンツ開発者のコミュニティに参加し利用者の声をアドビへ届けるなど、精力的に活動している。
モバイルコンテンツ中心の開発設計
チャンバーズ氏は昨年開催された「FITC Tokyo 2010」で、「Flashで作成する高性能モバイルコンテンツ」というテーマでプレゼンテーションを行った。
「何故モバイルを優先して考えるかというと、モバイルで動作するものは必ずデスクトップでも動作させることが可能だからです。言い換えれば、モバイルの方が制約が多いということ。画面サイズ、CPU性能、これらはモバイルのほうが限られています。そこで問題なく動作するコンテンツは、デスクトップに転換しやすいのです」
さらにチャンバーズ氏は、より具体的に「モバイルコンテンツの開発を優先する」理由について述べた。
「例えば、ビデオプレイヤーをデスクトップ向けに作る時、各種操作ボタンをそれほど大きくしなくてもポインティングデバイスがマウスなためボタンの大きさはそれほど重要ではありません。しかし、同じプレイヤーをタッチベースで動作させるデバイスの場合には、ボタンが小さいとユーザーは使いにくい。最初にモバイルを頭に入れて設計しておけば、やはりボタンに関してもサイズを大きくするという基本設計が出来る。それをデスクトップに展開する場合はロースペックなモバイルで動作するので、もちろんそのまま使えるという形になります」
あらかじめ様々なデバイスで動作させることを念頭に置き、もっとも制約の多いモバイルを基本にユーザーインタフェースを設計すれば、多方面への展開を行う際に発生する問題にも対処しやすいということだ。