「HP MultiSeat Computing」導入時に課題となったのは、アクセスデバイスには光学ドライブもUSBポートも存在しないことだった。
「図書館が所蔵するDVD資料の閲覧は、別途専用のコーナーを設けることで対応しました。パソコンエリアとは離れていることで、むしろ静かに鑑賞してもらえる環境ができたことはよかったと思っています」と語るのは、図書館課の衞藤俊介氏だ。
USBポートについては、通常USBメモリでデータを持ち込んで資料作成などを行うところを、学内向けのWebストレージで対応している。
「PC教室用のデータ保存領域に対して、他のPCからもアクセスできるようWebインタフェースを作りました。容量は1人1GB。個人単位のアカウントなので、グループ学習などに利用しづらいのが問題です」と荒井氏。これに対して図書館側では通常のノートPCを貸出機として用意し、データのやりとりや印刷に使えるようにしている。
もう1つの課題として、認証方法の変更がある。
「既存ネットワークへの接続やネットワークプリンタの利用に関しては、少々手間取りました。従来は1人に1つのIPアドレスが割り当てられているという前提で、IPベースでユーザーを認識していたのですが、HP MultiSeat Computingでは、1つのホストPCに接続するアクセスデバイスすべてが同一IPになります。導入後にActiveDirectoryを構築したため、10月までかかりました」と荒井氏は語った。
USBデバイスへの対応とホストPCリカバリ体制の整備に期待
さまざまな課題を乗り越えての導入ではあったものの、現場での満足度は高い。
「USBデバイスが使えない、電源を落としてしまうことはできないなど、普通のPCとの違いはあるのですが、インタフェースはWindows 7的なものなので、特に問題なく学生が利用できています。図書館での問い合わせやトラブル対応もあまりありません」と衞藤氏。混雑していると感じられる程度に利用者はいるが、満席ということもない、という理想的な状態で使われているようだ。
今後の要望として荒井氏は、USBデバイスへの対応を真っ先に挙げたが、運用上の不安もあるという。
「15台のホストPCだけを管理すればいいのは楽なのですが、もしホストPCが壊れたら数台のアクセスデバイスがすべて使えなくなるのは不安です。迅速なリカバリができるようにしてほしいですね。また、Windows Serverをベースにしたとはいえ、独自OSが採用されていますから、各種アプリケーションがどこまで動くのか保証してほしいですね」とサポート面での期待が語られた。