大日本印刷(DNP)は、インターネットバンキングなどの取引を行う際のログイン認証に利用する「ワンタイムパスワード(OTP)」カードして、「時刻同期方式」のOTPカードを開発したと発表した。4月に評価用サンプルの出荷を開始し、6月には本格的に販売を開始するという。
時刻同期方式は、一定の時刻間隔で自動的にパスワードを生成するもので、DNPは、キャッシュカードにも対応可能なOTPカードとして開発した。金融機関などでは時刻同期方式が主流となっており、同方式のOTPには、厚みのあるキーホルダタイプの表示機が採用されているが、より薄くて携帯性に優れるOTPカードが強く求められていたという。
OTPカードは時計の機能を内蔵し、一定の時間(30秒、60秒など)が経過するたびに新しいOTPを生成。カード内蔵の時計には周波数精度の高い水晶発振器が必要となるが、従来の高精度の水晶発振器は0.6mm程度の厚みがあるため、プラスチックカードの0.76mmの薄さでOTPカードを製造することは困難だったという。今回DNPは、厚さ0.4mm以下の超薄型の水晶発振器を採用することで、厚さ0.76mmのOTPカードを実現した。
カードサイズはW85.6×D54.0×H0.76mm、表示文字数は数字6桁~8桁。今後DNPは、銀行や保険会社、インターネット証券会社などの金融分野、オンラインゲーム分野など国内市場に加え、海外市場に対しても、イベント方式および時刻同期方式のOTPカードを積極的に展開し、2012年度までに5億円の売上を目指すという。