ジャストシステムは、法人向けにMicrosoft Officeと互換性があるオフィス統合ソフトを現在開発中で、2011年夏にリリースする予定だと発表した。法人向けのライセンス販売のみで、店頭での販売は現在のところ計画していないが、需要があれば今後検討するという。価格は、Microsoft Officeの半分程度を想定しているという。

2011年夏にリリースする予定のOffice互換のオフィス統合ソフト

開発中のアプリは、表計算ソフト「JUST Calc」、プレゼンテーションソフト「JUST Slide」、ワープロソフト「JUST Note」、日本語ワープロソフト「一太郎Pro」、日本語入力システム「ATOK Pro for Windows」のほか、ライセンス管理ツール「JUST AppDesk」、エコ印刷ツール「JUST InkCutter」、企業向けアップデート管理ツール「JUSTオンラインアップデート for J-License」。これらがスイートパッケージの「JUST Office」として提供される。また、官公庁や自治体向けの「JUST Goverment」や警察機関向けの「JUST Police」も用意される。

Excel 2003のファイル(左)を開発中の「JUST Calc」(右)で開いた場合

エコ印刷ツール「JUST InkCutter」

ライセンス管理ツール「JUST AppDesk」

JUST Calcは「.xls」、JUST Slideは「.ppt」、JUST Noteは「.doc」と、Office 2003のファイルフォーマットを標準のファイル形式とし、XMLに対応した「.xlsx」などのOffice 2007形式にも対応する。機能的にも、マクロを含めOffice 2003のすべての機能をサポートすることを目標にしているという。春にはベータ版がリリースされる予定だ。ターゲットは、現在Office 2003を利用しているユーザーだ。なお、Office 2010への対応は、次のステップで検討するという。

Officeの3つの互換に対応

代表取締役社長 福良伴昭氏

Office互換ソフトを開発するにいたった背景を代表取締役社長 福良伴昭氏は、「法人には、低コストで安心して利用できるOffice互換ソフトを出してほしいという要望がある。(弊社が開発中のソフトによって)、お客様に低コストで品質が高く、安心して利用できる選択肢を提供できる」と述べたほか、ライセンス事業部 事業部長の植松繁氏は「OpenOffice.orgを利用しているお客様もいるが、OpenOffice.orgでは、自主サポート体制の構築や教育コストなどで、かえってコストがかかってしまう」と、企業がサポート体制が充実しているOffice互換ソフトを求めている点を強調した。また、多くの企業がOffice 2003を使う中で、有償の延長サポートが2014年4月で終了してしまうことや、アップグレードした場合は操作が不慣れなリボンインタフェースになってしまうことも問題だという。

JUST Govermentでは、個人情報を抽出して黒塗りする「マスキング機能」のほか、公用文ルールの箇条書きへの対応、公用文表記辞書 for ATOKの搭載、官公庁向け素材集が、JUST Policeでは、設定した縮尺に合わせて図形を自動縮小/拡大する機能や、「現場見取り図」など警察業務に適したイラストなどがJUST Officeに付加される。

「JUST Goverment」と「JUST Police」

また、同梱される一太郎Pro/ATOK Proでは、Officeとの互換機能がさらに強化され、「Word互換UI」モードなどが搭載される。

同梱される一太郎Pro/ATOK Pro

方針転換ではない

記者発表では、独自路線は止め、互換ソフトへ事業内容をシフトするのかという質問が出されたが、植松氏は「今後も一太郎は並行して販売していく。今回の製品は新たな市場の開拓だと考えている」と述べ、事業方針の転換との指摘を否定した。