Intelの日本法人であるインテルは12月7日、千葉県松戸市立小金中学校において、同校1年生を対象に技術者など工学系専門職への興味関心を高めることを目的とした体験型授業を行った。

特別授業の会場は同校の体育館。普通の教室だと120名の生徒が入らないという理由もあるが、その他にも理由がある。それは後ほど

同授業は文部科学省が推進する早期工学人材育成事業の一環で、同社としても3年目の取り組みとなる。小金小は全校生徒697名で、そのうち約240名が1年生。授業は午前120名と午後120名と2回に分けて行われ、報道陣には午後の授業が公開された。

まずは授業の開始にあたり、インテルの人事を担当するジェフ・ルピナッチ氏が開始の挨拶を述べた後に、生徒達にインテルという会社を知っているかどうかの確認を行った。同社の社名を知っている生徒は約半数程度ながら、今、同社がTVなどで流しているCMを流すと、あの会社か、といった感じで理解するといった感じであった。

続いて、PCを利用している人との質問にはほぼ全員が挙手。しかし、その後のPCを開けたことがある人、という質問にはほんの数名程度が挙手しただけで、PCは使うけど、別にその中身は気にしていないという結果となった。

パソコンの中の部品を作っているといわれても、大半の中学生、しかも1年生で、それがどういうものかは流石に理解できていなかった様子が窺えた

そこで、デスクトップPCのケースを開け、中からCPUやメモリが挿さったマザーボードを取り出し、PCの中身を紹介。さらに別のCPUやメモリなどがすでに搭載済みのマザーボードの電源を生徒の1人に押してもらい、OSを立ち上げたりもした。

左と中央が初めに出された方のマザーボード。Pentium-4が搭載されており、時代を感じるが、実はこれ、インテル社内スタッフの1人が中学生の時にお年玉を貯めて秋葉原でパーツを集めて組んだマシンとのことで、そのスタッフから、中学生でもPCは簡単に作れるということがアピールされた。右はCore i5を搭載した最近のもので、こちらの裸状態の電源ボタンを生徒が恐る恐る押してPCを起動させた

さらに、PCの内部の説明ということで、スタッフが扮するCPU、メモリ、ディスプレイが自分たちがどんなことを行っているか簡単な劇を通して紹介、10101100…といった0と1の数字の羅列をどうやって目に見えるものに変換するか、ということの説明がなされた。

メモリから10101100…と続くデータを受け取り、CPUが演算し、その結果をディスプレイに表示するとこんな絵が、という一連の流れ

と、PCの原理をあらかた説明したら、今度は各班ごとによるチーム対抗のゲームがスタート。4桁の2進数が表す縦軸と横軸、そして3桁の2進数が表す8ビット・グレースケールの階調を組み合わせて、座標にそれぞれの色を貼っていくというもの。

2進数の簡単な説明+ルールの説明を終えたら、いざゲームがスタート

2進数の説明は簡単に行われただけだが、早いチームは15分程度ですべての2進数を解読してしまっていた。

各班に与えられた縦/横/色を2進数で記した多数の短冊を解析し、それを該当するマスに貼り付けていく。右はすべて終了したことを宣言する挙手

作業を終了した班の生徒達と談笑するインテルのジェフ氏。一番右は、同じく終了した班の生徒達が興味津々にマザーボードなどを眺めている様子。ちなみに各班が作成したモザイク状の紙を貼りあわせると、1つの絵になる。このサイズの画像では流石に一般の教室では貼れないということが体育館で行ったもう1つの理由となっている。ちなみに午後の授業では、同校の先生の1人の顔が映し出されるというものであった

この後、話題はCPUの性能向上の話から、今どんなことができるようになってきたのか、そして将来はどんな未来になるのか、という話へ。特に未来に関しては、生徒個人個人が名刺サイズのカードに思いおもいの未来を書くことになったが、なかなか書けない生徒も居れば、さっさと書いてしまう生徒もいたが、最終的にはテレビの中のものを取り出せたら、といったものや、ディスプレイの中に入る技術、数多くのロボットが活躍する世界など、個々人それぞれの思いがカードに書かれた。

1人ひとりが思い思いの未来を書いたカード

こうしたカードに書いてもらった未来に向けて、インテルからも生徒たちへとメッセージが送られた。それは未来を築くアイデアというものは、これからの時代を創る若い世代から生まれるというもので、ジェフ氏も「中学生のころ、未来がどうなるかなんて創造していなかった。ただ、将来何か大きなことをしたいと思っていた。それは、いつでも、自分を信じて全力でやれば叶うと思って目の前のことをやってきた。結果として、13歳の時にイメージしていた以上の素敵で充実した生活を送ることができている。だから、みんなもカードに書いた以上のことを実現できる力があることを信じてもらいたい」とコメントし、最後に「君たちの目の前にはチャンスがある。未来は一人ひとりのもので、怖がらないで新しい世界に飛び込む勇気を持ってもらいたい。そのために沢山勉強して、働いて、そして仲間を大切にする。そうして、日本、その先につながる世界に良い影響を与えられる存在になってもらいたいし、色々経験して、夢見たことは必ず叶うと信じて未来に挑戦していってもらいたい」とこれからの未来を築く世代にエールを送った。

授業終了後、生徒たちからサイン攻めに会うジェフ氏。授業を今回やってみた感想を聞いてみると、「大変エキサイティングな経験だった。彼らの世代は大きく成長する段階で、そうした年代にコンピュータの世界に興味を持ってもらって、我々のファン、電子機器のファン、そしてエレクトロニクスというものすべてのファンになってもらえれば」と語ってくれた