富士通研究所は、広域の道路上にある数万台の車両それぞれの挙動をリアルタイムで再現し、その中の1台に仮想的に乗車して運転体験することができる、広域道路交通シミュレーターを開発したと発表した。

このシミュレーターでは、山手線内程度のエリアの、1台1台の車の細かなシミュレーションのほか運転体験ができ、これにより、新たな交通施策を実施した場合に、運転者がどう感じるかをシミュレーションできるという。

運転開発環境

数万台の車両のリアルタイムにシミュレーションを行うため、シミュレーターでは広域の道路を複数の領域に分割してそれぞれの領域を並列に計算。このとき、領域の境界をまたがった車両の移動や車両間の相互作用もリアルタイムに同期するという。また、ドライバーの挙動や経路選択、運転操作や車体の物理的な運動などについては、階層化した車両挙動計算モデルにもとづいて階層ごとに計算の量や頻度を変え、リアルタイムでの計算を可能にしたという。

広域道路交通シミュレーターでの運転体験実現技術

同社では、交通施策の例として、CO2排出量削減のため、なるべく加速や減速をせずに信号を通過できる推奨速度をドライバーに通知するサービスを、東京都の銀座中央通り約2キロメートル区間についてシミュレーションし、通知方法や通知タイミングによって運転のしやすさやCO2削減効果が変わることがわかったという。

広域道路のシミュレーション

運転体験の画面

そして今後は、交通状況センシングや車両に携帯電話などの通信システムを利用してサービスを提供するテレマティクスを用いた交通誘導などのサービスの評価に適用し、サービスの具体化を支援するほか、シミュレーション範囲の広域化と、評価対象となるサービスの拡大を進め、都道府県や地方レベルでの広域交通施策の検証への適用を目指すという。