日本HPは、同社の大判プリンタ「HP Designjetシリーズ」の新製品として、ミッドレンジの複合機「HP Designjet T2300」2機種、ハイエンド向けのプリンタ「HP Designjet T7100」と「HP Designjet Z6200 Photo」それぞれ2機種の計6機種を発表した。「HP Designjet T2300 eMFP」は、税別価格で998,000円と100万円を切った価格で提供され、同社によれば、大判カラー複合機で100万円を切ったのは、世界初だという。販売開始は、いずれも12月2日を予定している。

「HP Designjet T2300」

ラインナップと価格は以下の表の通り。なお、製品名の「eMFP」は、スキャナー・コピー機能を備えた複合機、「PS」はポストスクリプト対応機、「MONO」はモノクロ機を意味する。

製品名 販売価格(税別価格)
HP Designjet T2300 eMFP 1,047,900円(998,000円)
HP Designjet T2300 eMFP PS 1,289,400円(1,228,000円)
HP Designjet T7100 1,512,000円(1,440,000円)
HP Designjet T7100 MONO 1,449,000円(1,380,000円)
HP Designjet Z6200 Photo(42inch) 1,257,900円(1,198,000円)
HP Designjet Z6200 Photo(60inch) 2,286,900円(2,178,000円)

HPは、大判プリンタについては10年単位で大きなテクノロジーの変革を行っているが、今回発表された新製品は第4世代となる。T2300とT7100は、CAD・GIS(地理情報システム)など、テクニカル分野の用途を想定した大判プリンタで、Z6200は、写真・ポスター・POPなど、グラフィックス分野での用途を想定している。いずれも、対応用紙はB0プラスとA0プラス、最高解像度は2,400×1,200dpi。

HP Designjet T2300 eMFP

4.3インチのタッチスクリーン

T2300は、B0サイズまでのプリントとA0サイズまでのスキャンとコピー機能を装備。4.3インチのタッチスクリーンを搭載し、すべての操作を、タッチスクリーンで行うことが可能。また、ファイルのプレビューもこのスクリーンで行える。USBポートも備えており、PCを使わずにUSBメモリからのダイレクトプリントや、LANポートも備え、内蔵スキャナーで取り込んだデータをプリンタから直接ネットワーク上のフォルダに保存することができる。

日本HP イメージング・プリンティング事業統括 グラフィックスビジネス統括本部 ラージフォーマットビジネス本部 本部長 根本勲氏

さらに、2011年中にサービス開始を予定している無償のクラウドサービス「HP ePrint & Share」により、スキャンデータをアップロードしてみんなでデータを共有することも可能になる。なお、クラウドサービスは、今後他のラインナップにも拡大する予定だという。

大判プリンタ複合機化のメリットについて、日本HP イメージング・プリンティング事業統括 グラフィックスビジネス統括本部 ラージフォーマットビジネス本部 本部長 根本勲氏は、「これまで手書き修正してオペレータが図面で直していたものを、スキャンしてデジタル化してそのまま保存できる。また、バージョン管理もできる。アナログデータをデジタル化してそのまま利用できることが、複合化の大きなメリットだ」と述べた。

HP Designjet T7100

T7100は、高速化を追求した大判プリンタで、A1用紙で165枚/時の印刷が可能。今回、これまでの4色インクにダークグレーとグレーを追加した6色インクシステムとなり(MONOは2色)、設計図の塗りつぶし部分やパース図などをより精細に表現できるようになった。また、ロール紙は軸をなくすことにより取り付けが簡単になり、標準で2ロール、オプションを追加することにより3ロールを装着し、自動で切り替えることができる。

「HP Designjet T7100」

HP Designjet Z6200 Photo

Z6200は、Z6100の後継機種で、インクは新たに「レッド」を加えた新8色構成となっている。また、プリント速度も向上し、Z6100と比較してノーマル時で54%、高品質時で44%の高速化を図っている。そのほか、インク消費効率の最適化により、インク使用量もノーマル時で38%、高品質時で26%削減している。

「HP Designjet Z6200 Photo」

日本HP 執行役員 イメージング・プリンティング事業統括 挽野元氏

日本HP 執行役員 イメージング・プリンティング事業統括の挽野元氏は、「今回の製品は10年に一度の画期的な製品だ。ユーザーはコスト削減による投資力アップ、経営のスピードの向上、生産性向上といった変化への対応と、投資の将来性への見極めという課題を抱えているが、今回の製品はこれに応える製品で、クラウドへの対応で将来性も担保した」とした。