キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)は、オランダ オセ社のインクジェット方式の業務用高速連帳プリンタ「ColorStream 3500」を市場投入し、業務用高速プリンタの販売を2011年1月に開始すると発表した。これにより同社は、これまでのライトレンジからミドルレンジを中心としたプロダクション事業にハイエンド機を投入し、事業強化を図る。

「ColorStream 3500」

オセ社は1877年に創業し、欧米市場を中心に、業務用高速プリンタと業務用大判プリンタの開発・製造・販売を展開する企業。業務用大判プリンタにおいては、欧米で高いシェアを獲得している。オセは、現在100カ国以上で活動しており、2009年の売り上げは27億ユーロとなっている。キヤノンは、2009年11月、技術・製品面での強力な補完関係、グローバルな研究開発力の強化、強力な販売・サービス網と優良顧客の獲得という3つの効果が得られるとして、パートナーとしてオセ社をグループに迎え入れることを発表。その後、公開買付けなどを行い、今年の3月にはオセ社の普通株式84.2%を取得し、子会社化している。

オセ社ポーイング工場

プロダクション向けの製品ラインナップ

キヤノンMJではColorStream 3500の投入により、短時間かつ大量にバリアブル、オンデマンドの印刷が要求されるダイレクトメールやトランスプロモといった新規市場に参入する。また、今後はオセの既存業務用高速連帳プリンタ「JetStreamシリーズ」や「VarioStreamシリーズ」などを順次手掛けることで、ハイエンドクラスのプロダクション機器のラインナップを充実させる。

オセ社取締役 最高業務執行責任者 アントン・シャーフ氏

これまで両社は、クロスセーリングで互いの製品を互いの販売チャネルで販売してきたが、今後は、共同で製品ロードマップを作成していく予定だという。

オセ 取締役 最高業務執行責任者 アントン・シャーフ氏は、「キヤノンとオセは地域的、戦略的、文化的、技術的にフィットしている。そして、プリント業界において力強い勢力になる。キヤノンが注力しているのは家庭やオフィスのプリントニーズに応えることで、オセはBtoB事業、ハイボリューム製品などに力を入れており、販売チャネルや販売地域も補完的な立場にあるので、両社で主要セグメントをリードしていける」と述べた。

キヤノンMJ 代表取締役社長 川崎正己氏

一方、キヤノンMJ 代表取締役社長 川崎正己氏は、「プロダクション事業は、キヤノンの中核であるビジネスソリューション中でもっとも重要な成長エンジンの1つだ。ハイエンドプロダクション市場に参入することによって、新たな収益源を生み出していきたい。オセとの連携により、多様な製品を提供することが可能になる」と述べた。4,000億円の国内プロダクション市場のうち、2,000億円が同社のターゲットとなり、2,000億円のうち、1,000億円がオセ製品のターゲットとなるという。

オセ製品がカバーする国内のプロダクション市場

また、販売体制も強化し、2011年1月にオセ専任の10名のスペシャル集団の部署を新設して企業へのダイレクトセールスを展開するほか、データプリントサービスや印刷市場で高いシェアを有している昭和情報機器と提携し、販売基盤の拡大を図るという。

「ColorStream 3500」を前に握手する川崎正己氏とアントン・シャーフ氏