日立製作所は11月2日、2010年度第2四半期連結業績および通期見通しを発表した。2010年度上半期(4月-9月)の売上高は前年同期比9%増の4兆5,024億円、営業利益は前年同期に対して2,428億円増の2,180億円、純利益は前年同期に対して2,912億円増の1,580億円となった。

第2四半期(7月-9月)は、売上高が前年同期比5%増の2兆3,498億円、営業利益が前年同期比502%の1,295億円、純利益が前年同期に対して1,224億円増の719億円となった。

日立製作所 2011年3月期第2四半期連結業績

日立製作所 取締役執行役員副社長 三好崇司氏

セグメント別に売上高を見ると、情報・通信システム、電力システム、社会・産業システムは前年同期比よりも減っているのに対し、電子装置・システム、建設機械、高機能材料、オートモーティブシステム、ハードディスクドライブを含むコンポーネント・デバイスは軒並み前年同期比の2ケタ増となった。

取締役執行役員副社長を務める三好崇司氏は、「国内中心のビジネスである情報・通信システム、電力システム、社会・産業システムは減収となった。対する電子装置・システム、建設機械、高機能材料は景気回復の影響を受け、需要が戻ってきた」と説明した。

売上高は前年同期に対し減収となった事業部門もあったが、収益面では全セグメントで増益となった。「情報・通信システム、電力システム、社会・産業システムではプロジェクト管理を徹底するなどの対策を施すことで、収益性を改善した」

売上高の国内と海外の比率は、前年同期は国内が59%で海外が41%だったのに対し、今期は国内が56%で海外が44%と海外のシェアが増えた。なかでもアジアの伸びが目覚ましく、売上全体に対する割合が23%、前年同期比131%だった。

また通期業績予想は、売上高が期初見通しから1,000億円増、前期比3,314億円増の9兆3,000億円、営業利益は期初見通しから700億円増、前年同期比2,078億円増の4,100億円、純利益は期初見通しから700億円増、前期比3,069億円増の2,000億円と、いずれも上方修正となった。

同社は、上方修正について「景気先行きの不透明や円高による影響があるものの、社会イノベーション事業の貢献、グローバルの加速、構造改革効果などから、増収増益を見込む」としている。

日立製作所 2011年3月期連結決算の見通し

同日、日立グローバルストレージテクノロジーズ(以下、日立GST)の新規株式公開に関する発表が行われたのを受け、説明会では同社に関する質問が集中した。同氏は、経営の自由度を持たせ、事業を拡大するためにIPOを実施するとして、同社の持ち分は段階的に減らしていくと話した。

また同氏は、「日立GSTの再建は技術力と経営力がうまく組み合わさって実現した。経営面ではスピードとコスト追求がカギとなった。同社のビジネスに詳しい人材を外部から連れてくることで、うまく回るようになった。日立GSTで培ったコスト追求におけるノウハウは他のビジネスにも展開していきたい」と説明した。