アドビ システムズのビデオ制作用アプリケーション「Adobe Premiere Pro CS5」の新機能を数回に渡り徹底紹介していく本レビュー。今回は、キー合成の新機軸Ultraキーについて紹介していく。
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なお、これまでに紹介してきた「Adobe Premiere Pro CS5」のレビューは以下の通り。
・「Adobe Premiere Pro CS5」新機能徹底レビューvol.1 |
・「Adobe Premiere Pro CS5」新機能徹底レビューvol.2 |
・「Adobe Premiere Pro CS5」新機能徹底レビューvol.3 |
Ultraキーの秘密に迫る
Ultraキーはブルーバックを透明にしてバックグラウンドの映像と合成することで知られている、クロマキーと似たような機能だ。じつは従来の「Premiere Pro」にも、任意の背景色を指定して抜く合成手段として、RGBキー、カラーキー、クロマキーという、3種類のキー効果(広義にはクロマキー機能)があり、その事実だけを見ると、何のために4つ目のクロマキーであるUltraキーが追加されたのかわからない。そこで今回はこのUltraキーについて実験を行ってみることにした。
背景色をワンクリックするだけで得られる突出した抜け具合
まずは論より証拠、Ultraキーの合成能力を見ていただきたい。用意したのは、クロマキー合成で粗が出やすいとされる髪の毛を想定して、アフロヘアーのかつらと、そしてもうひとつ、合成に不向きとされる透明色のグラスである。これをグリーンマットの前に置いて撮影し(図1、2)、背景となるテーブルクロス(図3)と合成してみた。合成にはRGBキー、カラーキー、クロマキー、Ultraキー全てを単独で用い、被写体に欠けが生じない範囲で追い込みを行い、各キーの合成能力を比較してみた。
結果を図4~図11に示す。従来の3種類のキー機能では被写体の縁に抜け残りが生じ、その程度はどんぐりの背比べである。ところがUltraキーは群を抜いて高い合成能力を示していることがお分かりいただけよう。しかもこの抜け具合は、スポイトツールで背景色を選んだだけの、ほとんど未調整の状態のものなのである。
図12は実際にクロスの上に置いて撮影したグラスである。中に注いだ水がレンズの役目を果たして、クロスの線が曲がっている辺りが本物感をかもし出している。これに対して図11の合成ではレンズ効果が表現されず、その辺りはご愛嬌ということになるのだが、ふたつ並べて見比べなければ合成とは判明しにくいのではないだろうか。今回わざわざUltraキーが実装された理由が分かる気がする。
次回はUltraキーについて、チャートを使った検証を紹介していく予定だ。