帝国データバンクは9月6日、自社データベース・信用調査報告書ファイル「CCR」(150万社収録)のから、新興国の企業から出資がある日本企業を抽出し、社数推移・国別・業種別・年商規模別に集計した結果を発表した。

今回の調査対象とした新興国は、インド、ブラジル、ロシア、ベトナム、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピン、アルゼンチン、トルコ、南アフリカの11ヵ国。中国は7月8日発表の「中国企業による日本企業への出資実態調査」で発表済みのため、調査対象外とした。

新興国の企業が出資する日本企業は、2010年8月の調査時点で120社判明した。5年前の82社と比べて46.3%増となり、この5年間で約1.5倍に増えたことがわかった。日本の事業拠点として国内に100%出資の子会社を設立するケースが半数を占めるが、実質的に新興国企業が日本企業を傘下におさめるケースも散見されたという。

国別では、11ヵ国中「インド」が38社でトップで、これに「タイ」の27社、「マレーシア」の22社が続いた。

業種別では、「卸売業」が50社とトップで、食品・医薬品・化学製品・貴金属などを扱う貿易会社が目立った。これに、「サービス業」(36社)が続き、その3分の2をソフトウェア業者が占めた。例えば、設立から5年に満たない都内のソフト開発業者は、フィリピン企業との合弁で設立され、同社からの受託案件を中心に事業を展開している。

年商規模別では、「1億円以上10億円未満」が41社でトップだった。これに、「10億円以上100億円未満」が28社で続いた。

同社が7月8日に発表した「中国企業による日本企業への出資実態調査」では、中国企業が出資する日本企業は611社、5年前に比べ約2.5倍に急増しているとされている。今回調査対象の新興11ヵ国の合計と比べても、出資企業数、伸び率ともに大きく引き離しており、中国企業の積極的な「日本買い」の現状を強く印象付けたと、同社ではコメントしている。

新興国の企業が出資する主な日本企業 資料:帝国データバンク