産業能率大学(産能大)は7月28日、「新入社員のグローバル意識調査」の結果を発表した。これによると、新入社員のうち2人に1人が「海外で働きたくない」という意向を示すなど、人材面での"ガラパゴス化"の傾向が読み取れる内容となっている。

同調査は、産能大が2001年、2004年、2007年と3年おきに実施しているもので、今回が4回目となる。調査対象は今年4月に新卒採用(高卒・大卒等を問わず)された18歳から26歳までの新入社員で、サンプル数は400。調査期間は6月29日~30日の2日間となっている。

今回の調査では、「海外で働きたいと思うか」という質問項目に対し、約半数となる49%の新入社員が「働きたいとは思わない」と回答したことが判明した。ただし、「どんな国・地域でも働きたい」という積極的な海外志向を示した人も過去最高となる27%となるなど、二極化してきた傾向が見られる。この結果について産能大では「グローバル化は避けられないと考えているものの、それに目をつぶって自分は国内に留まってやり過ごそうとする層と、積極的に打って出て変化を機会に変えようとする層がいると考えられる」という見解を示している。

「海外で働きたくない」が2人に1人(資料: 産業能率大学)

また同調査では、外資によるM&Aに対する新入社員の意識調査も行われている。この項目については、「日本の良さが失われそうで不安を感じる」という回答が33.8%となり、12.2%(2001年度)→14.8%(2004年度)→28.9%(2007年度)と調査を重ねるたびに増加する傾向にある。

「外資によるM&A」(資料: 産業能率大学)

このような調査結果を踏まえて産能大では、今年度の新入社員について「全体的には"内向き"の意識が強い」とし、同大学が行った別の調査(「2010年度新入社員の会社生活調査」)で終身雇用を希望する割合が非常に高いといった事実を踏まえながら、「人材面での"ガラパゴス化"が始まるかもしれない」としている。

また、進展するグローバル化の流れにおいて今後注目すべきポイントとしては、「少数派の海外志向が強い人材の争奪戦と、多数派の海外志向が弱い人材の支援強化」が指摘されている。