アイ・ティ・フロンティアは6月16日、イスラエルのPanaya Inc.が提供するクラウドコンピューティング型アセスメントツール「Panaya」を採用することを発表した。Panayaは、SAPのアップグレードを控えた顧客に対し、独自のコード解析技術でもって、顧客ごとに最適なアセスメントを実施、アップグレード時に影響を受ける部分を検出し対応方法をレポートとして提供する。膨大な時間と費用がかかるとされがちなSAPシステムのアップグレードだが、Panayaを採用することで「最大50%のコスト削減効果が期待できる」(アイ・ティ・フロンティア)としている。

SAP R/3の保守期限が2013年に迫っていることもあり、現在、SAP ERP 6.0へのアップグレード案件は増える傾向にある。だが、アップグレードに要するアセスメント作業(テスト環境の構築、データ入力、新旧の比較、影響範囲/対応方法の調査および分析など)が複雑多岐にわたるため、アップグレードそのものの前に時間やコストがかかってしまうことも多い。Panayaはこういった問題を解決するクラウド型のアセスメントツールで、アップグレードをはじめとするSAPシステムのライフサイクル全般にわたって迅速な調査/分析を実施するもの。とくにアップグレードにおいては、影響を受ける機能、修正やテストが必要な箇所を短期間で抽出できる点が特徴。アイ・ティ・フロンティアによれば、通常2 - 3カ月を必要とするアセスメントがPanayaによって4週間で完了した案件もあったという。

Panayaによるアセスメントサービスのイメージ図。顧客のSAPテスト機にPanayaを導入/実行し、クラウド経由で分析が行われ、アイ・ティ・フロンティアが分析結果をとりまとめて顧客に提出する

SAPアップグレードは、変更すべき箇所と変更しなくてもよい箇所を事前に切り分けることが難しいため、必要な作業やそれに伴うコストの算出が難しい。Panayaを利用することで、修正/変更すべき部分およびその方法が迅速に可視化される

アイ・ティ・フロンティアはPanayaとの間に戦略的システムインテグレーションパートナー契約を締結、2008年10月から複数のSAPアップグレード案件においてPanayaを利用し、効果を確認、今回のサービス提供に至っている。なお、同社ではPanayaによるアセスメントの無償トライアルも実施している。アイ・ティ・フロンティアの既存顧客だけでなく、他のSIerが構築したSAPシステムのアップグレード案件についても同サービスを適用できるとのことだ。