「OS/2再開発プロジェクトが現在IBMで進行中」だと聞いて「何を今さら」「遅れてきたエイプリルフールでしょう?」と思う読者も多いかもしれない。もはや1990年代のオールドPCユーザーの懐古物語でしか登場しないOS/2だが、ある報道によれば、内部関係者の話でこの秘密プロジェクトが進行中なのだという。ではなぜ、いまIBMがOS/2なのだろうか?
同件を報じているのはTechTargetのSearchDataCenter.comだ。それによれば、IBMに近いあるシステムインテグレータが、IBM内部でOS/2を復活させようという動きが進んでいることを断言しているという。同情報筋によれば、このニュースはIBM内部からの話として聞いたもののようだ。
もともとIBMとMicrosoftの2社の共同開発プロジェクトとしてスタートしたOS/2は、先進UI搭載とオブジェクト指向に則った先進的な32bit OSとして華々しいデビューを飾ったが、Windows NTの開発をスタートさせたMicrosoftのプロジェクト離脱によってIBM単独開発の製品となり、さらにWindows 95の登場によって劣勢に立たされることになった。その後の経過はご存知のようにWindowsの勝利で終わり、2006年にOS/2のサポートが正式に終了している。また一部にオープンソース化を希望する声はあったものの、IBMはこれを否定して完全にOS/2の命脈が絶たれた形となっていた。
そこで今回の話題だ。前出のインテグレータによれば、IBMの計画とはOS/2の再利用で、Linuxコアの上にOS/2サービスを実装する形態をとるという。OS/2復活の理由はシンプルで、IBMの顧客でOS/2を動かしているユーザーがいまだ少数ながら存在し、これを最小限の労力でリプレイスする方法としてLinux + OS/2というソリューションが検討されているようだ。特にAS/400やS390ユーザーなどは(すでにIBM製品ラインナップからこれら名称は消滅している)、OS/2 Communications Manager、SNA、LU/PU、APIPAサブネットといった多くのIT関係者にはなつかしい名前のサービスの数々をそのまま愛用しているという。SDC.comによれば、米ニューヨークにある「too-big-to-fail」な大手金融機関も給与システムをOS/2で稼働中という話だ。実際、ファイアウォールの内側で外界と隔離された形での運用であれば、こうした使い方も十分可能だろう。
IT管理者らも、OS/2時代のPresentation Managerが好きという層がおり、これがLinux謹製のKDEやGNOMEといったGUIに十分対抗できるという声もある。だが一方でIBMにはeComStationというOS/2の名目上の後継製品が存在し、OS/2をLinux向けに移植するより、これがLinuxベースで書き換えられるという可能性もある。噂は現実となるのか、その動向に注目したい。