イデアインターナショナルは、アップルジャパン本社にて、プロフェッショナル映像クリエイター向け「Final Cut Studioのハンズオンセミナー」を開催。本レポートでは、「Compressor」、「Final Cut Pro」、「Color」といった「Final Cut Studio」に含まれる複数のアプリケーションを活用しながら、実践的な映像編集のワークフローを学ぶ「Canon 5DMark IIを使用した動画編集」セミナーの模様を紹介していく。

セミナーは、一人一台ずつMacを使用し、説明を聞きながら操作を実際に行えるハンズオン形式での実施となった

本セミナーの講師はアップルジャパンのソリューションエキスパートである亀山氏。デジタル一眼カメラ「Canon 5DMark II」で撮影された素材を元に、映像圧縮変換ソフト「Compressor」でのトランスコード、映像編集ソフト「Final Cut Pro」、および色彩・画質調整ソフト「Color」よる詳細なエディット方法など、現在の映像制作現場でも多く採用されいている制作スタイルが紹介が行われた。

まず、素材を編集可能なフォーマットへと変換する作業。Canon 5DMark IIで撮影した素材の取り込みはFinal Cut Pro経由でも行えるが、Compressorを利用することで、さらに効率的な変換作業が実現できる。Compressorでは、単純な素材のフォーマットコンバートのみならず、「ドロップレット作成機能」により変換専用のアプリケーションを作成し、効率的かつ人為的なミスの少ない制作環境を構築することが可能とのこと。ちなみに、今回は撮影済みの素材(H.264)を、編集にも最適な「ProRes 422 LT」へと変換した上で、Final Cut Proへ素材を取り込んだ。

各種変換パラメータなどを調整したCompressorの設定を、アプリケーション形式で保存できるドロップレット作成機能。複数の素材をドラッグ&ドロップにより処理できるので、大量の素材のバッチ処理にも非常に便利だ

次に、Final Cut Pro上での大まかな編集が完了したら、Colorへのファイル送信を行う。この際、面倒なファイルの保存やコピー、再読込みなどの作業は一切必要とせず、Final Cut Proのファイルメニューから「送信機能」を選択するだけで、アプリケーション間でシームレスな連携が行えるのもFinal Cut Studioならではの大きな魅力といえるだろう。

Final Cut Studioで編集した素材は、ダイレクトにColorプロジェクトとして送信できる。編集済みの各シーンが、そのままColor上でも再現される。ユーザーはアプリケーションの切替えを意識することなく、クリエイティブな作業のみに集中できる

Colorは、映像制作のワークフローの中でも、カラーに関する作業に特化した、ミュージックビデオをはじめ、コマーシャル、テレビ番組、長編映画などの制作現場でも利用されているハイエンドなカラーグレーディング環境。個別のショットやシーンの仕上げから、シーケンス全体を通したオリジナリティー溢れるルックスの作成まで、直感的に設定可能となっている。Color内の作業は、基本的に画面上にタブでカテゴリ分けされた機能を、左から右に順番にエディットしていくことで、任意の編集目的を効率的に達成し、最良の結果を得られるように配慮されているとのこと。

Colorは、最大4Kの高画質フォーマットでのネイティブワークフローにも対応するという直観的なカラーコレクションツール。Final Cut Proとの連係も強化されており、手軽に素材の色彩や質感の調整などを行える

セミナー内では、実際にColorへ読み込んだ「車の走行シーン」をピックアップし、車体のテールランプのみをカラー調整するといった作業が実践されていた。面倒なマスキング作業なども一筆書きの要領でマウスを使って簡単に指定できる

あらかじめ用意された「Color FX」を使えば、バリエーション豊かな映像効果をワンクリックで適用可能。さらに、複数のエフェクトを組み合わせて新しい効果を生み出したり、エフェクトパラメータのカスタマイズ、FXライブラリへの保存にも対応する

Colorでの最終的な調整を終えた素材は、Colorのファイルメニューから「送信機能」を使って、Final Cut Proへと書き戻された。Final Cut ProからColorへの送信と同様に、煩わしい作業は一切必要としないため、プロジェクトの送信完了と同時に、カラーコレクションが完了した素材を、そのままFinal Cut Pro上でスムースにプレビューできるのを確認し、本セミナーは終了した。なお、今回のセミナーでは、「Color」による色彩の調整など作業がメインとなるため、「Final Cut Pro」での映像編集は、必要なシーンを素早く切り出し、タイムライン上に配置する方法などの簡単な説明にとどめられた。

Colorでの作業が完了したら、そのままFinal Cut Proへとプロジェクトを送信する。Final Cut Proのブラウザ上に、Color編集後の素材(from color)が自動的に追加され、タイムライン上にも反映されている