ライブドアと国立情報学研究所(NII)は、3月8日から2011年3月31日までの約1年間、無線LANローミング基盤である「eduroam(エデュローム)」利用者に、ライブドアの公衆無線LANサービスのアクセスポイントを解放する共同実証実験を行うと発表した。

「eduroam」は、大学など学術研究機関用の無線LANローミング基盤で、欧州で約40カ国、アジア太平洋地域では日本のほか、オーストラリア、ニュージーランド、中国、香港、台湾、カナダ、米国などが参加している。「eduroam」に加盟している学術研究機関であれば、他の参加機関を訪問した際にも無線LANを無償で利用できる。日本では、国立情報学研究所(NII)、北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学、東京工業大学など11の機関が加盟しているという。

今回の実証実験は、これら「eduroam」に加盟している機関に対して、ライブドアが「eduroam-livedoor」というSSIDを提供する。これによりeduroam加盟機関は、大学構内だけでなく、全国2,300カ所あるライブドアの公衆無線LANサービス「livedoor Wireless」のアクセスポイントも利用可能になる。

「livedoor Wireless」のアクセスポイント。都内山手線圏内に2,200カ所のほか、ヨドバシカメラ、ルノアール、ニューヨーカーズカフェなどの商業施設で利用可能

ライブドアでは、教育機関向けに公衆無線LANソリューション「livedoor Wireless アカデミックソリューション」を提供しているが、同社では今回の実験で利用実態などのマーケティング情報を収集し、同ソリューションのサービスメニューへの組み込みなど、今後の事業展開に役立てたい狙いがある。

「livedoor Wireless アカデミックソリューション」の利用イメージ。大学構内に無線LANを導入すると、全国2,300カ所のライブドアの公衆アクセスポイントも利用可能になる。導入費用は、図書館など一部の場合は10万円程度から、構内すべてに導入すると1,000万円程度になるという

ライブドア ネットワーク事業部 ネットソリューション部 部長 増田順氏

今回の実験開始の背景には、iPhoneの発売による無線LANサービス利用者の増加がある。ライブドア ネットワーク事業部 ネットソリューション部 部長 増田順氏によれば、同社の無償トライアル版の無線LANサービス「livedoor-free」の利用者数は、2008年の7月iPhoneの発売以降、半年で倍増したという。また、「livedoor Wireless アカデミックソリューション」を導入したある大学では、利用者の4割がiPod Touch/iPhoneユーザーであったという。

実証実験では、「livedoor Wireless」のアクセスポイントで受けたリクエストは、「eduroam」の認証サーバに転送される

今後同社では、増加しつつあるこれら潜在ユーザーを掘り起こし、「livedoor Wireless アカデミックソリューション」を全国30の大学や専門学校に導入し、6,000万円の収益増を目指していくという。