風力発電ではなく風洞発電

リキッドエネルギー研究会/ゼナシステムのブースでは風洞発電システムの模型展示を行っている。

風洞発電とはあまり聞いたことのない発電方法であるが、要は風車が特定の方向からの風を受けて発電するのに対し、風洞施設を作って、そこに風を通してタービンを回して発電を行おうというもの。

ゼナシステムでは全方位集風型「ウインドタワーシステム」と銘打って紹介しており、ブースにいた説明員の話によれば、全方位から風速2m/hの風を受けても発電が可能であり、その発電効率は80%程度。このため、展示している模型の風洞塔を実際に建造した場合、直径25m、高さ50mの八角形の風洞で発電できる電力量は3,000kW、実行効率を考えれば2,400kWの発電が可能とのこと。

2010年もしくは同年度内に佐賀県に実証塔を建造し、実際に発電している様子を公開する計画だとしている。施設はタービンや蓄電池施設まで含めておよそ8,000m2の広さがあれば可能としており、「建設コストは十億円を超すが、風車を設置して、発電が思ったほどできなかったという場合に比べて、元がとりやすくなる計算となっているほか、メンテナンス部分は基本タービン部分のみという簡便さながらそれなりの大規模施設となるため、地方の雇用確保などにも貢献できるはず」と、地方での導入に意欲を見せていた。

風洞発電の実際の1/10モデルの模型。奥の風洞塔の壁が全方位で押し開けられるようになっており、風を一方向に圧縮、その先にタービンを配置して、風の力でそれを回し、発電した電力を蓄電施設に貯める仕組みとなっている。値段は一般的な風力発電よりは高いが、試算では売電による毎月700万円の利益が生み出されるとのことで、元は十分に取れることを強調する

2012年の商用化を目指す全固体リチウムイオン2次電池

出光興産のブースでは、自社の固体電解質を用いた全固体リチウムイオン2次電池の展示が行われている。

全固体リチウム2次電池

全固体リチウムイオン2次電池は文字通り電解液を用いず、すべて固体で形成される2次電池であり、有機系電解液に匹敵するLi+の伝導度や400℃付近まで熱的に安定、10Vの電位窓などの材料特性を有している。

また、100℃の状態でも良好な充放電サイクルが可能なほか、比較実験では20Vまで変化しない過充電安定性と200℃まで安定した電圧維持が可能なことが証明されたとしている。

展示されていた全固体リチウムイオン2次電池比で10倍の容量を実現した全固体ラミネート電池の試作品とそれを用いた12Vモジュール

同社では、2010年にAh級単セル12V電池モジュールを試作し、実用性能評価や実用化の検討を進め、2012年には全固体リチウムイオン2次電池として商品化したいという計画を立てている。

人工衛星にも使われているリチウムイオン電池

ジーエス・ユアサ パワーサプライ/ジーエス・ユアサ インターナショナル/リチウムエナジージャパンのブースでは、さまざまな用途に応じたリチウムイオン電池などの展示が行われている。

旅客機向けリチウムイオン電池

EV向けリチウムイオン電池

主な展示物としては、電気自動車(EV)向け、旅客機向け、そして宇宙用スタンダード電池となっている。この宇宙用スタンダード電池は人工衛星用リチウムイオン電池「LSEシリーズ」として提供されているもので、人工衛星のミッションに要求される信頼性と性能を実現するために特別に設計されたものとなっている。

人工衛星用リチウムイオン電池

主に海外の通信衛星などに搭載されているが、日本でもHTVやH-IIAなどにも搭載されているほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が過去に打ち上げた複数の人工衛星もしくは今後打ち上げ予定の複数の人工衛星にも搭載および搭載予定となっている。

耐久寿命は15年としているが、「15年も経つと電池以外の部分も宇宙線の影響などで相当ガタがくるので、そこまで行くとどこが悪いとは言っていられないというのが現場の声ですが、我々は電池が悪いといわれないように最善の努力をしている」(同社説明員)とのことで、電圧モニタリングなどでの劣化状況の把握のほか、シミュレーションや地上実験での知見の蓄積を行うことでさらなる高品質、高信頼性化などを狙っていくという。