前回に引き続き、「Shade11」の新機能「スケッチモデラー」を使ったキャラクターモデリングの方法を紹介する。前回の記事では、1枚のイラストをトレースするように点を打ち、キャラクターの顔を点と線で作ってきた。今回はそのモデルに「面(ポリゴン)」を貼り立体化させていこう。

面を貼るにはスケッチモデラーウインドウの「face」ツールを使う。faceツールを選択すると、点と線で作ったモデルに三角ポリゴンを貼ることができる。貼り方は3つの異なる点を反時計回りで選択するだけ。間違って時計回りに点を選択すると、ポリゴンの面が裏返しに張られてしまうので注意しよう。

この作業の注意点だが、一度に全部の面を貼らないようにしよう。ある程度貼ったらスケッチモデラーウインドウ左下の「▽」ボタンをクリックし、Shade上で確認するとよい。ブラウザウインドウには新たに「ポリゴンメッシュ」ができており、スケッチモデラーとShadeのポリゴン編集ツールの両方を使いながらキャラクターのモデリングを行なっていく。

スケッチモデラーの「face」を使い、次々と面を貼っていく

Shadeにデータを読み込むと、このようにポリゴンメッシュの顔が表示される

ポリゴンメッシュの加工をしたら完成

すべての点と線にポリゴンを貼ったら、スケッチモデラーは終了。後はShadeのポリゴン編集ツールを使い、バランスを整えていく。ポリゴンメッシュは角が立ったギザギザなモデルなので、「形状情報」の「ポリゴンメッシュ属性」を「スムーズ」にし、「角の丸め」を「カトマル・クラーク法」に設定。すると角が取れた滑らかなモデルになる。あとは「球」で作った目を入れて、最後に「表面材質」で色やテクスチャを設定したら完成。

属性を「スムーズ」にすると、角が取れたCGになる。シワが目立つ箇所が出てきたら、再びポリゴンメッシュの編集で気になる部分を修正

作成した顔はこんな感じ。髪や眉毛がないのでかなり怖いが、とりあえず顔はできた

元となった下絵と重ねてみた。確かにイラストと似ている

スケッチモデラーを使わずに「自由曲面」で面を貼る

ここまではスケッチモデラーを使って面を貼る方法を紹介したが、読者のなかには「いちいち三角ポリゴンを貼るなんて面倒」と感じる人もいるだろう。そんな人にオススメしたいのは、「自由曲面」機能を使って立体化させるという方法だ。スケッチモデラーで点を打つ作業は手間がかかるが、その後の作業は楽になるので、ぜひ一度試してほしい。自由曲面機能を使用する場合の注意点は以下の通り。

●なるべく多くの横線を引く
●すべての横線の点の数を同じにする
●点の間隔はできるだけ狭くする

これらの条件を守ってイラストをなぞるように点を打ったら、データをShadeに取り込む。取り込んだデータの「left」か「right」のきれいな側を選ぶ。反対側は使わないので非表示か消去してしまう。そして「自由曲面」を新規に作り、残ったパートにある「line」をすべて自由曲面内に移動する。すると、Shade画面上には自由曲面によって面が貼られた3DCGが現われる。3DCGがきれいに表示されない場合は、移動させたlineの順番に注目してみよう。きちんと上から順番に並んでいない場合は、自由曲面内のlineを並べ替えて、正しく表示されるようにする。

スケッチモデラーで横の線を多数引く。すべての横線の点は同じ数で左右対称とする

「right」の「line」を自由曲面に入れる。すべての線を上から順番に並び替える

「自由曲面」か「ポリゴンメッシュ」で仕上げる

ここまでできたら、あとは通常のShadeの機能を使って3DCGを完成させよう。「copy」から「数値入力」→「拡大縮小:X=-1」とすれば、データの左右対称コピーができる。自由曲面のままモデリングを続けてもよいし、ポリゴンメッシュにしてもかまわない。もしも「スケッチモデラー」を使わずに凹凸のあるモデルを作ろうとしたら、かなりの時間がかかってしまうだろう。もちろん「スケッチモデラー」も特殊な機能なので慣れるまでは時間がかかるが、「線形状」を操作してモデリングを行なうよりは明らかに楽なはずだ。人物の顔を作りたいと思っているShade初心者には歓迎される機能といえよう。

自由曲面をポリゴンメッシュに変換。「形状情報」の「ポリゴンメッシュ属性」を使えばスムーズ化できる

これがレンダリング後。ポリゴンメッシュで制作するよりもシワを消しやすい

はまるとクセになる「スケッチモデラー」

スケッチモデラーは1枚のイラストや写真さえあれば、比較的簡単に3DCGを作れる機能。当然、雑誌や新聞のキリヌキでもオーケーだ。自分で描いたキャラクターを3DCGにしたり、著名人の写真を作って3DCGを作成したり、色々と試してみよう。

一連の操作に慣れたら、キャラクターの顔を次々と量産できるようになる