マイクロソフトは2月16日、自社運用(オンプレミス)ソフトウェアとクラウドベースのサービスの長所を組み合わせる「ソフトウェア+サービス」の考え方に基づく、ITアーキクテチャ策定と計画立案コンサルティング「ITAP for S+S(IT Architecture & Planning for Software Plus Services)」の提供を3月1日より開始すると発表した。

ITAP for S+Sは、同社のクラウドコンピューティング向けプラットフォーム「Windows Azure Platform」や企業向けオンラインサービス「Business Productivity Online Suite」を含むクラウドサービス環境の構築、運用ノウハウや導入事例を、日本市場向けに体系化したサービスだ。

マイクロソフト エンタープライズサービス 執行役常務 鳴坂仁志氏

エンタープライズサービス 執行役常務を務める鳴坂仁志氏は、同社のクラウドサービスは「顧客の状況に応じて柔軟な選択肢を提供できる点」、「クラウド上のSaaS/PaaS/IaaSにわたる幅広いプラットフォームを網羅するソリューションを提供できる点」、「ソフトウェア+サービスに対応したITライフサイクル全般に対しサービスを提供できる点」の3点において優位性があると説明した。

「当社はオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドに対して、アプリケーション/ミドルウェア/インフラをすべて提供しており、かつ、この3つのエリアにおいて同じ技術でアプリケーションを展開することが可能だ」

ソフトウェア+サービスから成るクラウドをPC/携帯電話/テレビを介して提供するというマイクロソフトのビジョン。同社が提供するクラウド関連のソリューションはアプリケーション/ミドルウェア/インフラと多岐にわたる

マイクロソフト エンタープライズ コンサルティング サービス統括本部 業務執行役員 統括本部長 畑義和氏

続いて、エンタープライズ コンサルティング サービス統括本部 業務執行役員 統括本部長を務める畑義和氏が、ITAP for S+Sの詳細について説明した。

「ITAP for S+Sでは、ソフトウェア+サービスに対応したITライフサイクル全般に対するサービスを提供し、具体的には計画フェーズ/設計フェーズ/導入・移行フェーズ/運用フェーズの4つのフェーズから構成される。4つのフェーズのうち、日本ではITアーキテクチャ策定と計画立案を行う計画フェーズに重点を置く。なぜなら、国内でこれまでクラウドを導入する際、クラウドの導入自体が目的となり、その結果、個別最適されてしまうことがあるからだ。計画フェーズで、全体のアーキテクチャを構築することで、全体最適が実現される」

ITライフサイクル全般に対するサービスの概要

各フェーズでは、主に以下のサービスが提供される。

  • ワークショップ (S+S概要、分析手法概要、クラウドにおけるセキュリティなど)
  • 分析手法MSBA (Microsoft Services Business Architecture) による業務分析とプラットフォーム選択のためのアセスメント
  • セキュリティアセスメント:現状のセキュリティ実装 (Tech & Process) とクラウドへの適合分析
  • ベネフィットマネジメントを活用したビジネスケース作成
  • ソフトウェア+サービスに基づくITアーキテクチャ策定
  • 現行システムからの中期移行計画作成
  • 高優先度プロジェクト計画の作成

具体的な流れは、顧客の課題分析を実施して、クラウド環境の候補とパラメータ化を行い、システム関連性の分析と導入効果の算出を行い、顧客のクラウド導入計画を策定するといった具合だ。各ステップでは、顧客が情報を共有するなど、社内で利用可能なレポートが作成される。

全体アーキテクチャは、顧客の課題を分析してクラウドの導入計画を策定する「ビジネス・サービスレイヤ」、業務やサービスに必要なセキュリティ要件の分析と定義を行う「セキュリティレイヤ」、クラウドの実装・運用設計を行う「クラウド実装・運用レイヤ」の3つのレイヤによって設計される。

ITAP for S+Sの提供の仕組み

同社はITAP for S+Sの提供にあたり、現在、50人のクラウドエンジニアを1年間で400人に増員する。

ITAP for S+Sを用いることで、クラウドの利用シナリオと導入計画の策定を最短9週間ででき、価格は840万からとなっている。