OSSで開発されているOSとして表舞台に立つ機会は少ないが、独特のコンセプトを持って開発を継続している興味深いOSのひとつにHaikuがある。Haikuは特にパーソナルユースを目的として開発されているオペレーティングシステム。キビキビとした動作、マルチコアCPUで効率的に動作するように設計されたスレッドベースデザイン、高速な開発を実現するためのオブジェクト指向APIの提供、データベース風の機能を提供するファイルシステムOpenBFSといった特徴がある。BeOSの技術やコンセプトに強い影響を受けており、実質的にBeOSの後継と見る向きが強い。
Everyone loves benchmarksにおいてHaikuの開発者が最近のHaikuカーネルのベンチマーク結果を紹介している。最近のHaikuカーネルの開発でパフォーマンスの改善が実施されたとしており、その結果を示すものとなっている。ベンチマークに利用されたPCのスペックはCore2Duo E4300、DDR2 RAM 2GB。ベンチマークはHaikuOSのビルドにかかる時間としており、比較OSとしてビルド用のホストOSとして使われるFreeBSDやLinux、OpenSolarisが採用されている。
ZETAと比較してHaikuの性能は大幅に高速化されており、最近取り組まれているロックコンテンションまわりの改善作業が効果をあげていることがわかる。しかしそれでもFreeBSD、Linux、OpenSolarisと比較するとこのベンチマークでは性能が劣っており、これらOSがどういった方法で性能を引き上げているか調べる価値があるとしている。
この手のベンチマークはハードウェアの構成、ドライバの性能、OSのパラメータ、ファイルシステムの種類、メモリの容量の違いなどで結果が変化する。特定の状態での特定の結果としてとらえる必要があるが、マルチコアシステムにおけるHaikuの性能が改善されてきてることは間違いないようだ。なおマルチコア向けの開発は8コアシステムで実施されており、8コアではまだそれほどスケールしないという説明がある。マルチコアにおける性能スケールはLinuxやFreeBSDでもここ数年間、開発の主要テーマとして取り組まれている分野だ。Haikuは、こうしたOSSとしては最大規模の開発陣を備えるOSの性能へ急速に追いつきつつある。同OSの最新公開版は2009年9月14日(ドイツ時間)に公開されたHaiku R1/alpha 1 (x86-32)。