日本電信電話(以下、NTT)とNTTコミュニケーションズは12月9日、技術試験衛星VIII型「きく8号」を用い、実際の通信衛星を介してデータ集信を行う実験を行い、洋上を航海する船舶からの各種観測データを集信することに成功した。
同実証実験は、2006年度に総務省から受託した「衛星通信用中継器における周波数高密度利用技術の研究開発」を通じて開発された「多地点データ集信型衛星通信システム」の技術確認を目的としたもの。
同システムは、全国に多数散在するセンサからの様々な観測データを、衛星中継器の限られた周波数帯域を無駄なく利用し、低コストで集信できる。
今回行われた実験では、きく8号を介して、千葉県館山市(東京海洋大学館山ステーション)と京都府けいはんな学研都市(NTT京阪奈ビル)に設置した観測局から、センサデータを神奈川県横須賀市(NTT横須賀研究開発センタ)に設置した集信局で集信した。
その際、2社が開発した「高効率チャネル割当技術」、「高精度周波数同期技術」、「動的一括復調技術」、「環境情報実用化技術」を適用した試作装置により、高密度にチャネル配置・送信されたセンサデータが、良好な品質で集信できることが実証された。
加えて、館山局から東京湾を航行する船舶に設置した気象センサ、GPS、Webカメラなどからの実観測データを、また、けいはんな局から事前に取得した船舶模擬データとWebカメラの実画像データを送信し、船位航跡データを電子航海海図上にリアルタイム表示するとともに、予測船位を計算処理し海図上に表示するなどのコンテクスト化機能を検証した。