Salesforce.comは11月18日(現地時間)、ユーザー&デベロッパーカンファレンス「Dreamforce '09」にて、新たな企業向けコラボレーション・アプリケーション「Salesforce Chatter」を発表した。ここでは、同社のCMOを務めるKendall Collins氏に、同アプリケーションを利用する際のポイントと日本企業における導入などについて話を聞いた。

Salesforce.com CMO Kendall Collins氏

同氏は、Salesforce Chatterについて、「同社のアプリケーションとクラウドを統合した初の製品であり、同社の今後10年間の糧となる」と語った。

現在企業で利用されているコラボレーション・アプリケーションにマイクロソフトのSharepointがあるが、同製品はもはや"古い技術であり"、そうした既存の技術を変えていこうとして開発されたのが、Salesforce Chatterだという。

「Sharepointは陳腐化された技術であり、これからはコンテンツとアプリケーションと人を統合していく必要がある。それをできるのがSalesforce Chatterである」

情報の有効活用のカギはパーソナライズ

Salesforce Chatterはユーザーに応じて適切な情報をリアルタイムで更新するが、ともすれば、必要のない情報まで入手できてしまい、逆に情報過多になりかねない。

同氏は、「正しいグループ、正しい人にフォローするということは実に難しい。だから、Salesforce Chatterを利用する際は、可能な限り集めた情報からいかにして重要な情報を抽出するかということが大切」と説明する。

「Salesforce Chatterを利用する際のポイントの1つはパーソナライズ。今後のロードマップには、インテリジェントフィルタを提供する予定が組み込まれている。オブジェクトと人の関係を深める形で、開発を進めていく」

Sales Chatter限定ライセンス提供の意味

Sales Chatterの提供は2010年が予定されているが、Salesforce CRMとForce.comのすべてのライセンスに含まれることになる。ただし、Sales Chatterのみが利用可能な「Chatter Edition」というライセンスモデルが新たに用意される。

同エディションは1人のユーザーが1ヵ月間50ドルでSales Chatterを利用できるというものだ。この1つのアプリケーションしか使えないライセンスモデルを設けた狙いは何なのだろうか?

同氏は、狙いは2つあると説明。1つは「新たな顧客を獲得するための策」である。「Sales Chatterは企業の全社員が使うことができるアプリケーションだが、当社としては初の全社向けアプリケーションの提供となる。これにより、今まで対象ではなかったユーザーを取り込むことが可能になり、Sales Chatterの発売を顧客拡大の契機としたい」

もう1つは「クラウド・コンピューティングの利用をもっと進めるための起爆剤」としたいという。クラウドベースのアプリケーションであるSales Chatterを利用する人が増えれば、クラウドへの理解も深まり、クラウドの発展も見込める。

日本企業での普及は見込めるのか?

現在のところ、米国と比べて日本企業では、それほどFacebookやTwitterは利用されていない。むしろ、遊びの要素が強いツールと見られている節もなきにしもあらずだ。はたして、Sales Chatterは普及するのだろうか?

同氏はこの問いに対し、「確かに、日本企業は今のところFacebookやTwitterをそれほど使っていないかもしれない。ただし、他の国に比べて、日本はクラウド・コンピューティングを導入しようという機運が高い。したがって、日本のCIOはSales Chatterについても、イントラネットをうまくビジネスに活用するチャンスと受け止めるのではないだろうか」と答えた。

また業種で見た場合、ハイテク産業や電子産業が適しているのではないかとのことだ。「金融業界はセキュリティやコンプライアンスから導入が遅れるかもしれない。しかし、いろんなアイデアを出す人がたくさんいる企業では、Sales Chatterを有効に使ってもらえると思う」