過去10年間でも類を見ないほどに米国で失業率が低下する中、求職活動はますます困難なものになってきている。このような状況下において、ミズーリ大学 経営学部長のDaniel Turban教授を中心とした研究グループが、就職戦線に打ち勝つための求職活動で重要な要素に着目した調査結果を発表した。
調査は、就職活動を行う327人を対象に実施。第1段階では、パーソナリティと人口学的データを計測し、次の段階では、積極的な感情と、自身の行動や思考を客観的に認知する"メタ認知"行動と、採用結果を測定した。さらに、その4、5カ月後にまだ就職活動を続ける人を対象に採用結果を訊ねた。
調査の結果、就職活動の初期の段階では、メタ認知活動が影響を与える一方で、2次面接や最終面接では積極的な感情を維持する能力というのが結果を左右することが明らかになったという。
また、研究では外向性や真摯さといった個人の性格と、メタ認知活動や積極的な感情の関係性も調査された。その結果、活発さや外向性というのは、メタ認知活動と積極的な感情の両方に関係性が認められ、自制心や信頼性の度合いは採用通知を受け取った数に比例し、メタ認知行動に影響があることがわかったという。
こうした結果について、「就職活動の後期段階では、ポジティブな感情を持つことが重要な一方で、初期の段階では、打ち立てた計画に基づき行動/反省するというメタ認知活動が重要だという結果がもっとも興味深い」とTurban氏。さらに、「真摯な求職者というのは、適正な雇用主をより注意深く、効率的に精査することによって、より質の高い職探しを行ったのだろう」と分析している。
今回の研究結果を受け、Turban氏は、就職活動には計画を作成し、継続的にその進捗状況を評価するよう提案している。また、早めに不採用の場合を予測して、対策を練ることが重要だと述べ、「仕事を獲得するチャンスを改善するためのこうしたプロセスを通して、積極的な感情を維持することに役立つはずだ」と説明。「これらの提案は、常識的なもののようだが、それらはそのように一般的であるわけではないのだ。戦略を持たず、計画を評価しない、戦略を立てない、また、それが機能しているか、よりよく機能するためにはどうすればいいか、などを考えない人というのは、たったそれだけのことをしないのだ」とTurban氏は語っている。