10月6日から、千葉市の幕張メッセで開催されるCEATECを実行母体であるCEATEC JAPAN 実施協議会が、開催前日となる10月5日、都内で開催内容に関する会見を開いた。
CEATECは、社団法人電子情報技術産業協会、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会、社団法人 コンピュータソフトウェア協会が主催するアジア最大のIT・エレクトロニクスの総合展示会。通信、情報、映像が融合したデジタルネットワーク時代を反映した、最新の技術、製品、システム、ソフトを一堂に展示するほか、基調講演やセミナーなどが相次いで開催される。
今年のテーマは、「デジタルコンバージェンスが明日をつくる、未来へつなぐ」。
CEATEC JAPAN 実施協議会・大坪文雄会長(パナソニック社長)は、「今年は10回目の記念すべき開催となる。IT、エレクトロニクスの産業間連携によって生まれる『デジタルコンバージェンス』をテーマに掲げる一方、豊かな暮らしと低炭素社会への挑戦を開催メッセージに掲げている。日本の最先端技術を生かすことで、環境負荷低減を実現できることを世界に発信していきたい」などとした。
最終的な出展社数は590社、2,123小間となり、「前年の開催に比べて約7割。そのうち海外からの出展は、22カ国263社と、出展社数で約9割の規模。フランス、韓国からの出展が増加している」(CEATEC JAPAN 2009実行委員長 瀧本純右氏)と、経済環境の悪化を反映した規模となっているが、東芝のCELLテレビや、シャープの次世代液晶パネル「UV2A」が初めて一般公開されるほか、パナソニックやソニーが3Dテレビの展示を行うなど、日本のメーカーからの最先端技術が相次ぎ公開されることになっている。
今回のCEATEC JAPAN 2009では、いくつかの新たな取り組みを行っている。
まず大きな取り組みは、「グリーン」にフォーカスした展示やイベントが目白押しとなったことだ。
2016年の東京へのオリンピック招致活動では、「環境五輪」を目指したものの、そのメッセージを届けきれなかったことが敗因とも指摘されているが、日本が先進性を訴求できる分野だけに、CEATECでもそのあたりの訴求には余念がない。それは、日本の電機産業から世界に向けた発信だといってもよく、主催者メッセージを「Challenge! 豊かな暮らしと低炭素社会への挑戦」としたことからも明らかだ。
グリーン関連の展示では、主要各社へのグリーンへの取り組みのほか、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が展示する「グリーンITパビリオン」がある。ここでは、最新の省エネ技術、燃料電池車、風力発電などの日本の先端技術を紹介するという。
また、10月7日から9日まで、グリーンITシンポジウムを開催。経済産業省をはじめ、関連団体、関連企業などが参加し、最新のグリーン動向を幅広く紹介する。
さらに、初日の10月6日午後1時30分から、グリーンテーマにした国際会議として「アジアグリーンITフォーラム」を初めて開催。中国、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、日本が参加して、アジアにおけるグリーンIT推進に関する官民を交えた対話を行うことになる。
CEATECとともにも3大イベントと称されるドイツ・ベルリンのIFA、米ラスベカスのCESと比べても、CEATECが環境に関する展示が最も多いイベントになるといえよう。
もうひとつは、10月10日の土曜日に限定して入場料を完全無料にするという取り組みだ。
CEATECでは出展社幹部などを対象にした公開時間として、10月6日午前10時~正午までをプレミアムタイムに設定。そして、10月6日正午 - 午後5時まで、10月7日 - 10日午前10時~午後5時までを一般公開としている。基本は全来場者登録入場制として、事前登録は入場無料。当日登録は、入場料として一般1,000円、学生500円(学生20名以上の団体および小学生以下は入場無料)としていた。だが、今回は土曜日に限って、当日登録者についても入場料を無料とし、多くの人が来場しやすくしたのだ。CEATEC JAPAN 2009実行委員長 瀧本純右氏は、「平日は仕事の関係で来場できない、また一度来場したがもっとゆっくり見たいというビジスネマンが土曜日にも来場しやすいようにしたほか、次世代人材の育成の観点から、学生や子供たちが来場しやすいようにしたい」という。土曜日には、ジュニア&キッズ電子工作教室、学生のための仕事研究サポートイベントなどが予定されており、これらも次世代人材の育成のためのイベントと位置づけられている。
こうした取り組みは大きく評価できるものだ。CEATEC JAPAN 2009は、環境発信の場として、また次世代の人材育成の場としても大きな意味を持つことになりそうだ。