富士経済は9月8日、産業部門(一般のオフィスや小売店など)が改正省エネ法に対してどのように取り組んでいるかを調査した結果を発表した。同調査では合わせて、同法への対応策として導入が増えるとして、注目される省エネ機器の動向も分析している。

今回の調査は、オフィスビル、商業施設、飲食施設、宿泊施設、医療・福祉施設、文教施設、サービス・アミューズメント施設の7部門の28施設を対象に行われた。

今年度の総エネルギー需要量見込みは、ストック件数が多いオフィスビルがトップで、旅館、病院、居酒屋、食品スーパーなどストック数が多い施設が続く。一方、シティホテルや大学、オフィスビル、総合スーパー、病院などでは施設規模が大きく、1施設当たりの年間需要量が大きい。また、ストック数成長率では、映画館・ホール、家電量販店が大きい。

今年度の各施設エネルギー消費の見込みは、特にシティホテルや大学、総合スーパー、オフィスビルなどで空調エネルギーの消費の割合が大きく、年間のエネルギー消費全体の約40%程度を占める。食品スーパー、コンビニエンスストアなどでは、冷凍・冷蔵や照明エネルギーの消費割合が30%強と高い。1施設当たりの消費規模はシティホテルが最大で、給湯によるエネルギー消費はシティホテルや病院が規模、消費割合ともに大きい。

同発表によると、各施設は今年度に省エネ機器を導入して省エネ・環境改善を推進するという。パッケージエアコンはオフィスビルや大学などの文教施設のほか、改正省エネ法施行により新たに規制されるチェーン展開の中小規模業務施設での普及が見込まれる。市場規模は2009年度が2,590億円の見込みで、2012年度の予測が2,960億円だという。

ターボ冷凍機は、2009年度は世界不況の影響による設備投資抑制から市場が大幅に縮小するが、近年は大規模専業施設や複合商業施設などの大容量機種採用が堅調だという。2010年度以降の市場は景気の回復と共に需要回復が見込まれ、2009年度の市場規模は60億円の見込みで、2012年度の市場規模は97億円と予測されている。

LED照明は2007年度から製品ラインアップが拡大され、2008年度には大型商業施設やコンビニエンスストアなどでの採用が増えて順調に成長した。今後もダウンライトやスポットライトでの採用が有望視され、白熱球の生産中止による代替から拡大が予測されるという。2009年度の市場規模は36億円の見込み、2012年度の市場規模は103億円の予測。

業務用エコキュートは、2008年度に燃料高騰などを背景に大幅に市場が拡大したが、2009年度は燃料価格の落ち込みや世界同時不況による建築需要の減退から成長率が鈍化するという。2010年度以降は商品機能の充実が予想され、市場は拡大基調に戻り、2011年度以降の中長期展望は効率の向上や商品知名度の向上、リニューアル案件の増加などにより穏やかな拡大が予測されるという。2009年度の市場規模は33億円の見込みで、2012年度の市場規模は56億円の予測となっている。

改正省エネ法施行で需要拡大が見込まれる省エネ機器。左から、日立アプライアンス「HiインバーターIVX 省エネの達人」、三菱電機「サニーパックQ ECO」