帝国データバンクは9月8日、2003年4月から2007年3月まで活動を続けた「産業再生機構」が支援を手がけた41案件の支援後の動向調査の結果を発表した。同発表によると、約4割の企業が支援終了後もが「債務超過」、「資本食い込み」の状態にあることが判明した。

作業再生機構が支援した案件の業種別分類 資料:帝国データバンク

産業再生機構が支援した41案件のうち、未上場企業が32件と全体の約8割を占めた。業種別では「ホテル経営」が10件とトップで、足利銀行関連のホテル・旅館が目立つ。年商規模別では、7割以上が業界中堅や地場トップクラスの100億円台や10億円台の企業だった。金融機関別では足利銀行が11件でトップで、それに三井住友の7件、UFJの6件が続いた。

再建手法については、「株式譲渡」が28件で全体の7割弱とトップだった。うちファンドへの譲渡が16件(構成比39.0%)と目立ち、これに「営業譲渡(6件)」、「会社分割(5件)」続く。支援決定後の動向は、「営業継続中」が40件と大部分を占める一方、法的整理入りした事例も2件発生している(うち1件は民事再生手続き中のダイア建設営業継続中)。

作業再生機構が支援した案件の金融別分類 資料:帝国データバンク

事業再生計画の達成状況を見ると、業績数値が判明した28件中21件が「未達(一部未達含む)」となり、4社に3社が計画未達という結果が出ている。また、直近決算の財務状況が判明した33件中、「資産超過」が20件と6割を占める一方、「債務超過」が9件、「資本食い込み」が4件と、約4割の企業は支援終了後も健全化した財務状況を維持できず、再び悪化させていることがわかった。

こうした結果より、同社は「財務面は一定の改善が進む一方、損益面の立て直しは道半ばという企業が多い」と分析している。さらに、産業再生機構の地方版という位置付けの「企業再生支援機構」が今月末に業務を開始するが、未曾有の構造不況に苦しむ中堅・中小企業の再生に新組織がどれだけの成果を上げることができるのか注目されるとしている。