MicrosoftとYahoo!の提携は、ライバルであるGoogleにとってどの程度の脅威となるのか? システム完全統合までに2年はかかるといわれる両社の提携だが、現在の市場シェアからそのインパクトの一端を探ってみよう。

調査会社の米comScoreは8月14日(現地時間)、2009年6月時点での米国の検索エンジンシェアを発表している。ここではトップ3の検索エンジンとしてGoogle、Yahoo!、Microsoftが挙げられており、下記の表にある各々のシェアの数字はそれぞれが抱える関連サイトをすべて合計した数字となっている。また参考データとして、MicrosoftとYahoo!のシェアを組み合わせた数字も掲載されている。検索者シェアを合計して100%とならないのは、複数のエンジンを重複して利用しているケースによるものとみられる。

検索者シェア 検索件数シェア 検索者あたりの検索数
全体 100.0% 100.0% 70.5
Google 84.0% 65.0% 54.5
Microsoft + Yahoo! 73.3% 28.0% 26.9
Yahoo! 56.5% 19.6% 24.5
Microsoft 41.4% 8.4% 14.3

この表を見てすぐにわかるのは、Googleは利用者シェアだけでなく、個々のユーザーあたりの検索数をみても他社に2倍以上のスコアをつけていることだ。利用者シェアの差以上に単位検索数が多いということが意味するのは、それだけリピーターが多く、検索エンジンを使い込んでいるロイヤリティの高いサービスであるということだ。MicrosoftとYahoo!の利用者シェアを合わせてGoogleに匹敵する数字を出せたとしても、この利用度の面ではまだまだ及ばないといえるだろう。これを示す別のデータがある。

Google利用者 Microsoft + Yahoo!利用者
Googleで検索 68.9% 60.7%
Microsoft + Yahoo!で検索 24.8% 32.6%

少々わかりにくい表だが、ユーザーによっては目的や状況に応じて検索エンジンの使い分けを行っている。そうした場合、普段利用している検索エンジンとは異なるエンジンを利用した割合を示すのがこの分類だ。例えばGoogleサービスのユーザーであれば68.9%の割合でGoogleをそのまま利用し、24.8%でその他の検索エンジンであるMicrosoftまたはYahoo!を利用していることになる。逆にMicrosoftまたはYahoo!サービスのユーザーは、その検索の60.7%はGoogleを利用しているという。これに関してEnquiro Search Solutions社長兼CEOのGord Hotchkiss氏は「Microsoft + Yahoo!がGoogleに対抗しようと思った場合、ユーザーがGoogleを使うという無意識の慣習を打ち破らなければいけない」と指摘する。ユーザーは普段はMicrosoftやYahoo!のサービスを使っていても、知らず知らずのうちに検索のためにわざわざGoogleに接続してしまっているのだ。

これを解決するのは並大抵の労力ではない。検索エンジンの質を高めてサービスの差別化を図るのが常套手段だが、現状の技術レベルで大きなブレイクスルーは見込めず、仮にできたとしてもMicrosoftとYahoo!らがシェアでGoogleを引き離すのは難しいだろう。ここで求められるのは自身のサービスにつなぎとめたユーザーをできる限り離さず、そのまま滞留し続けるようなサービスメニューの開発やシステム統合が必要になると思われる。