日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏

日本オラクルは8月4日、インメモリデータベースの新版「Oracle TimesTen In-Memory Database 11g」「Oracle In-Memory Database Cache 11g」を発表した。

両製品は、ストレージのデータをアプリケーションサーバの物理メモリ上にキャッシュして、データを高速に処理することができるインメモリデータベース。2005年に米Oracleが買収したTimesTenの技術をベースに開発されている。

今回発表された2製品のうち、Oracle TimesTen In-Memory Database 11gは、データベースの種類を問わず、スタンドアローンで動作する製品。一方、Oracle In-Memory Database Cache 11gは、Oracle Databaseとの連携を前提とした製品で、Oracle Database Enterprise Editionのオプションとして提供され、「Oracle Real Application Clusters」、「Oacle Enterprise Manager」、「Oracle SQL Developer」、「Oracle Fusion Middleware」などのオラクル製品との親和性が高いといった特徴がある。

米Oracle リアルタイム&エンベデッドデータベース製品開発担当バイスプレジデント マリーアン・ニーマット氏

新版の概要を説明した米Oracle リアルタイム&エンベデッドデータベース製品開発担当バイスプレジデントのマリーアン・ニーマット氏は、主な強化ポイントとして次の3点を挙げた。

  • In-Memory Database Cache Grid機能を追加
  • PL/SQL、OCl、Pro*Cのサポート
  • Oracle Clusterware/Oracle Data Guardとの連携強化

これらのうち、新版の最も特長的な機能として挙げられたのがIn-Memory Database Cache Gridだ。同機能は、各アプリケーションサーバ上に配置されたインメモリデータベースノード間でのpeer-to-peerのデータやり取りを可能にするもの。あるノードで更新されたばかりのデータに対して他のノードからのアクセスが発生したような場合に、アクセスされたノードから更新されたノードへ直接参照しに行くことが可能になったため、パフォーマンスの向上が期待できるという。

また、同機能を利用することで、オンラインでのノードの削除/追加が可能なほか、一部のノードに障害が発生した場合にも他のノードを使って処理を継続できる。もちろん、トランザクションの一貫性については、全ノードを通じて保たれる仕組みになっている。

In-Memory Database Cache Gridにより他ノードのデータを直接取得できるようになった

続いて強調されたのが、Oracle Databaseで利用可能な言語/APIである「PL/SQL」「OCl」「Pro*C」をサポートした点だ。Oracle TimesTen In-Memory Databaseでは、以前から多くのJava関連インタフェースをサポートしていたうえ、C/C++関連のAPIとして「ODBC」、「ttClasses」に対応していたが、今回これらにPL/SQL、OCl、Pro*Cが加わりインタフェースが豊富になったことで、「導入時の改修を最小限に済ませることができるようになった」(ニーマット氏)という。

なお、PL/SQLについては、以前からサポートしていたものの、部分的なサポートにとどまっており、導入時にはそれなりのテストや改修が必要だったという。今回のバージョンでは、Oracle Databaseと同じPL/SQLエンジンを搭載し、同言語を完全サポートしたことで、そういった工数も省けるようになっている。

新版が対応する言語/API

これらに加えて、両製品では、クラスタサーバ間の共同動作を実現する「Oracle Clusterware」や、スタンバイデータベースを作成し、障害発生時の切り替えを自動的に行う「Oracle Data Guard」との連携を強化。さまざまな層で耐障害性が高まり、システム全体の可用性向上に寄与している。

価格は、両製品ともに1プロセッサあたり451万900円。そのほかに初年度サポート料金99万2398円が必要になる。

新製品の価格

Linux版、Windows版が8月7日より出荷され、SPARC Solaris版、HP-UX Itanium版、AIX Power版は今秋を目処に提供される予定。