IDC Japanは、2009年4月に国内企業1,992社のCIOを対象に行った「IT投資動向に関する国内CIO調査結果」を発表した。それによると、IT予算縮小傾向が強まっており、新規構築/購入だけでなく、保守/運用費にまで削減が拡大している。

ただ、IT予算が削減される中でもシステム間連携やインフラ統合へに関しては、今後投資が見込まれるという。

「現在、あなたの会社では社内情報システムのあり方、調達方法に対してどのような見直しを行っていますか」という問いに対する回答(出典:IDC Japan)

今回の調査では、2009年度にIT予算を削減すると回答した企業が全体の34.6%にのぼり、中でも、新規構築/購入の予算については2009年度に予算が減少すると回答した企業の割合が32.7%と3割を超えており、強い抑制傾向がみられる。

また、IT予算の約3割を占めるシステム運用/保守の予算についても、減少させる企業の割合が2008年度の18.0%から2009年度には23.5%に上昇している。

そのため、CIOの多くは人員削減や外部委託の減少により増加したIT要員の業務量調整や、具体的なコスト削減案の策定に忙殺されており、新たな技術やベンダーの利用に踏み出す企業は1割程度に留まっているという。

ただ、4社に1社程度の企業が、インフラの全社最適化やサーバ、ストレージの統合など、システムの抜本的な見直しに着手しており、IDCでは、今後この分野がIT投資が行われていく領域になると予想している。

そのため、「ベンダーは企業のITコスト削減をサポートしながらも、新たなIT技術/ソリューションを活用した次世代システムにおける収益モデルを検討し、景気回復時のIT投資案件獲得に備えることが重要である」とIDCでは分析している。