朝日新聞社と米メディア大手CBSのWeb事業企業であるCBS Interactiveは1日、CBS Interactiveの日本法人であるシーネットネットワークスジャパンが運営するITビジネス分野の専門サイト「CNET Japan」「ZDNet Japan」などの事業を朝日新聞社が9月1日から引き継ぐことで合意したと発表した。

記者会見に出席した、左から朝日新聞社 デジタルメディア本部長の大西弘美氏、朝日新聞社 デジタルメディア担当の和気靖氏、CBS Interactive President,InternationalのAdam Power氏、シーネットネットワークスジャパン 代表取締役社長の神野恵美氏

シーネットネットワークスジャパンは、CBS Interactiveの日本拠点で、ITビジネス分野の専門サイト「CNET Japan」「ZDNet Japan」のほか、ゲーム情報サイト「GameSpot Japan」、鉄道関連サイト「鉄道コム」の運営を行っている。

朝日新聞社とCBS Interactiveは1日、これらのサイト事業を朝日新聞社が継承することで合意。事業継承は今年の9月1日を予定している。

継承にあたっては、朝日新聞社とCBS Interactiveが「CNET Japan」「ZDNet Japan」などに関するライセンス契約を締結。その上で、シーネットネットワークスジャパンからこれらのサイトに関する事業部門を新会社として分離し、分離した会社の株式を朝日新聞社が100%取得し、子会社化する。

シーネットネットワークスジャパンは引き続き、CBS Interactiveの日本拠点として存続する。現在「CNET Japan」「ZDNet Japan」などの編集・営業などに携わっている社員ら約50人は、全員新会社に引き継がれる予定となっている。当面は現在のサイトの形を維持し、朝日側からの記者の派遣などは行わない方針。

1日朝の合意を受けて同日午後急きょ開かれた記者会見には、朝日新聞社 デジタルメディア本部長の大西弘美氏、朝日新聞社 デジタルメディア担当の和気靖氏、CBS Interactive President,InternationalのAdam Power氏、シーネットネットワークスジャパン 代表取締役社長の神野恵美氏が出席した。

朝日新聞社の和気氏は今回の合意について、「今回のCBS Interactiveとのアライアンスを契機に『CNET Japan』『ZDNet Japan』をさらに発展させていきたい。当社の運営する『asahi.com』や『どらく』とのシナジー効果を生み出すことも期待される」とあいさつした。

CBS InteractiveのPower氏は、「日本はエキサイティングなマーケットで、当社の日本でのオペレーションは成長している。朝日新聞とは6カ月前から話をしてきた結果、今回の合意に達した。今回の朝日新聞との提携で、今後さらにエキサイティングなビジネス環境になっていくものと思う」と述べた。

今回の事業継承に関する朝日新聞社の出資額について和気氏は、「詳しくは申し上げられないが、『CNET Japan』『ZDNet Japan』などの実績、実力、今後の発展性などについて相応の評価で合意できた」と説明。今後の事業展開については、「まずは円滑に引き継ぐことが重要」と、事業継承後も、当面は今と同じ形でのサイト運営を行っていく方針であると述べた。

その上で、「ビジネスモデルもこれまで通り広告中心でやっていくが、シーネットネットワークスではWeb営業を独自に行ってきており、広告営業面での当社とのシナジー効果も狙っている。さらにシーネットではIT関連などのイベントも行っており、そうした面でのパートナーシップにも期待できる」と述べた。

さらに、「将来的には、ITやサブカルチャーに関する日本発のニュースを、英語に翻訳してCBSのネットワークに乗せていくこともできればと思っている」と、Webでの海外向け情報発信のきっかけになる可能性があることも指摘した。