富士通は14日と15日の2日間にわたり、東京国際フォーラムで「富士通フォーラム2009」を開催している。今回は「変革! 富士通のビジネスソリューション ‐お客様のかけがえのないパートナーに‐」をテーマとして、ユーザーの企業価値向上や環境経営の実践、コスト競争力の強化を支援する新たな取り組みが紹介されている。ここでは、富士通 代表取締役社長の野副州旦氏が登壇した基調講演の様子をレポートしよう。
基調講演は、富士通の代表取締役社長を務める野副州旦氏の「富士通はもっとお客様のビジネスに貢献できる企業を目指し、さまざまな変革にチャレンジしていくことを約束します」という言葉で幕を開けた。講演の焦点となったのは「お客様のお客様起点」「グローバル起点」「地球環境起点」で構成される3つの起点の改革で、これは野副氏が代表取締役社長に就任した時から声高に宣言しているものだ。
まず「お客様のお客様起点」について野副氏は「IT業界全体が厳しい状況下にありながらも、富士通のソリューションビジネスが極めて良い成績を収めているのは、これまで『お客様起点』を徹底してきた結果だと感じます。もちろん『お客様起点』は私たちにとって永遠のテーマですが、この起点をお客様のITからビジネスへと変えていく、つまりお客様自身が持っているお客様の起点に変えていこうというのが『お客様のお客様起点』なのです」と語る。
その取り組みの1つに「フィールド・イノベーション」が挙げられる。ユーザーの置かれている環境は日々変化し、現場やフィールドで発生する課題も多岐にわたる。こうした部分を改善すべく、現場やフィールドという枠を超えた対象領域を可視化するのが「フィールド・イノベーション」だ。
フィールド・イノベーションでは、プロセスを可視化することで人とITが業務内容を本当に改善できるのか、どのような役割分担であれば目的を実現していけるのかを判断する。富士通ではその牽引役として、2007年10月より「フィールド・イノベータ(以下、FIer)」の育成を行っている。FIerには入社から15年以上の実務経験を持つ優秀な人材が選ばれ、現在は第1期生150名、第2期生167名で取り組みが行われている。
「ITの価値を高めるにはITだけを見ているのではなく、人やプロセスを合わせて改善していく必要があります。ITの投資効果は稼働後の利用率が決定するため、いくら立派なシステムでも、実際の現場で活用されなければ意味がありません。お客様の現場や現実を見ながら一緒に改善していくのがフィールド・イノベーションであり、ここには従来と違って『システムを作りっぱなしにしない』というモデル構築への想いが込められています」と語る野副氏。