米ブロケードコミュニケーションズシステムズは(以下、ブロケード)4月7日(現地時間)、Fibre Channel(FC)とEthernetを融合したFibre Channel Over Ethernet(FCoE)のソリューションを発表したが、ブロケードこれを受けてプレス向けに、FCoEの製品および動向について説明会を開催。5月後半より、パートナーを等して販売してことを明らかにした。

ブロケードシステムエンジニアリング本部 システムエンジニアリング統括部 部長の小今井裕氏は、最近のデータセンターでは、仮想化によるサーバ統合や消費電力の低減による「コスト削減」、さまざまな状況に対応できる「俊敏性」、既存のインフラをベースに拡張していくという「投資の保護」の3つが求められており、これらの要求に対してブロケードでは、仮想化による統合をインフラの部分でサポートするFCoE製品を提供していく予定だという。 そして、小今井氏はブロケードの製品は業界標準に基づく、オープンなシステムとして提供が可能であり、いずれの仮想化製品に対応できるメリットがあると語った。

そして、データセンターの仮想化によるサーバ統合向けに、ブロケードが先月発表したのが、「Brocade 8000スイッチ」と、スイッチに接続するためのサーバ用のコンバージド・ネットワーク・アダプタ(CNA)「Brocade 1010/1020」だ。これらは、FCoEを搭載した製品であり、ブロケードによればEnd-to-EndのFCoEでは、業界唯一の製品だという。

「Brocade 8000スイッチ」

「Brocade 1020」

FCoEは、SANストレージとの接続に用いられるFCデータをカプセル化して、Ethernetのデータとして送受信するための技術。ただし、既存のEthernetではこれは実現できないため、既存のEthernetを拡張したConverged Enhanced Ethernet(CEE)により実現する。

FCoEでは、サーバ側は、LANとFCの2枚のカードを1枚に集約することができ、ケーブルも1本で済むようなる。その結果、消費電力も10%程度削減できるという。

現在におけるFCoE/CEEの利用形態

ただ、FCoEとCEEについては、現在標準化が完了しておらず、FCoEについてはANSI T11で、CEEについてはIEEEで現在その活動を行っている最中だ。ただ、ハードウェアに搭載する分については、各ベンダー間で合意が取れており、今回の製品にも反映されているという。小今井氏によれば、FCoEについては年内、CEEについては来年標準化が終わる見込みで、FCoEについてはFCのパケットをカプセル化する部分、CEEについては、現状Ethernetで許されているパケットロスの部分を、FCに対しどのようにフォローしていくかを検討しているという。そのため、同社ではFCoEが一般に普及するのは、2012年以降と見ている。

Brocade 8000スイッチは、24個のCEEポートと8個の8Gbps FCポートをサポートする、EthernetとFCの両方で使えるマルチプロトコル対応のFCoEスイッチ。ブロケードでは、この製品をサーバラックの一番上にセットするTop-of-Rackと位置づけている。

Brocade 8000の特徴

また、単体のEthernetスイッチ、あるいはFCのスイッチとしても活用できるのもポイントだという。同社では、すぐに既存製品がFCoEに置き換わることはないと見ており、当面はFCを8Gbpsに、Ethernetを10Gbitにアップグレートする用途と、Ethernet/FCスイッチを1台に統合する用途を想定して販売していくという。

当面の利用用途

Brocade 1010/1020は、Brocade 8000スイッチと接続するためのサーバ用のアダプタ。「Brocade 1010」はシングルポートで、「Brocade1020」はデュアルポートという違いがある。これら2製品は従来のイーサネット機能、CEE、FCを単一リンクで提供。10Gbit/秒でのFCoE接続を可能にする。

Brocade 1010/1020の特徴

Brocade 8000、Brocade 1010/1020とも、現在一般ユーザーへの提供はまだでOEMメーカーによる検証作業が行われている段階だ。一般ユーザーに向けては、5月後半以降になる予定だという。