3Dデジタル・テクノロジーを利用したソフトウェア開発・販売を手がける仏Dassault Systemesの日本法人であるダッソー・システムズは4月9日、記者説明会を開催し、Dassaultが2008年11月26日に設立を発表した同社が提供するPLMオファリング全体でデザインの卓越性(デザイン・エクセレンス)を活用し、広めていくことを使命とする「DS Design Studio」のサテライトが日本に設立されたことを明らかにした。

「DS Design Studio」のロゴマーク

これにより、日本の工業デザイナー向けパッケージが用意されることとなるほか、同スタジオのノウハウを日本に居ながら提供を受けることが可能になるという。

Dassault Systemes Vice President,Design & Brand ExperienceであるAnne Asensio氏(同社入社以前はRenaultやGMで20年にわたりデザインを担当してきた経歴の持ち主である)

同スタジオを統括する工業デザイナーで、Dassault Systemes Vice President,Design & Brand ExperienceのAnne Asensio氏は、「同スタジオは、"人をインスパイアしてデザインの革新を図っていく"ことをモットーとした新しいモデルのデザインスタジオをやりたいと思い設立したもの」とし、「デザイナーがより良いデザインを行うためには、他のデザイナーと刺激し合う必要がある。特に、テクノロジーが進化する中、デザイナー各自が専門性を持ち、互いに協力していくことが重要」と設立に対する想いを語った。

また、「DassaultはPLMソリューションを中心としたソフトウェアのメーカーだが、今まではクリエイティブなデザインチームへのアプローチをしてこなかった。このスタジオでは、そこに注力していきたい」とし、「会社は合理性を追求するが、同スタジオでは、人の感覚を大切にし、人がテクノロジーの奴隷となっている現状においてデザインが人の助けとなってきたように、人を技術から解放したい」(同)との抱負を語った。

「DS Design Studio」がデザイナーに提供するもののイメージ

工業デザインとは

デザインとはそもそもが"スキルセット"ではなく"マインドセット"なものであり、日常の中でのモノとのかかわり合いを変えるものである。「そういったデザインのもたらす感覚や考え方が企業文化を変えていく」(同)ことにつながり、こうした取り組みを同社でも行っていくという。

またデザインには「ECONOMIC MODEL」「PERCEPTION & BRAND」「MAKE DREAM POSSIBLE」「INNOVATION PROCESS」の4つの側面があるが、ビジネスでは美しいデザインを見せつける"ECONOMIC MODEL"と、自分達のブランドや製品の差別化を示す"PERCEPTION & BRAND"が重視されてきた。「企業はビジョンを持ち、それを見せる必要があるが、デザインはそれを具現化してくれるもの。今後、企業が良い方向にデザインをビジネスと組み合わせていくためには、残りの"MAKE DREAM POSSIBLE""INNOVATION PROCESS"も取り入れていく必要がある」(同)とし、"MAKE DREAM POSSIBLE"と"INNOVATION PROCESS"を取り入れていくことで、企業価値を高め、ビジネスの効率を高めることが可能になるとする。

デザインの持つ4つの側面