IDC Japanは4月1日、昨今の経済動向を反映した、国内産業分野別IT市場企業規模別の予測を発表した。同予測は、2008年12月に発表した国内産業分野別IT市場企業規模別の予測を見直したもので、2008年第3四半期(7月~9月)までの実績と、2009年2月時点の経済状況に基づいている。

同社は通常、半年おきに市場予測を発表しており、同予測は本来であれば2009年6月に発表されるはずだった。しかし、急激に減速する経済環境に伴い企業のIT投資の変化を短い周期でとらえる必要があるとして、見直しを実施したという。同様の理由から、同社は今年に入ってさまざまな予測の見直しを行っている。

同予測によると、SMB(中堅中小企業・999人以下)市場の2009年のIT投資前年比成長率は、マイナス2.4%と、2008年12月の予測から一転してマイナス成長になるという。その理由について、国内経済の低迷による企業収益の悪化は産業界全体を直撃しており、特にSMB市場に与える影響が大きく、IT投資が大幅に減少しているとの見解が示されている。

一方、大企業の2009年成長率はマイナス1.4%が見込まれている。その理由について、大企業では金融商品取引法(通称:日本版SOX法)の初年度適用後の対応や、国際会計基準対応に向けた取り組みによってIT投資が持続することから、SMB市場に比べてマイナス成長の度合いは低くなると分析されている。

ただし、医療分野におけるSMB市場は、電子カルテシステムの導入やレセプトのオンライン化など、他の産業に比べて遅れているIT化が推進されることで、2009年の成長率は3.9%と2008年に引き続きプラス成長が見込まれるという。

企業規模別IT市場投資成長率の推移 2008年~2010年 資料:IDC Japan