マイクロソフトは19日、米国で開催されているカンファレンス「MIX09」において、RIA(Rich Internet Application)環境の「Silverlight 3」のベータ版を発表し、同社米国サイトからのダウンロード提供を開始した。無償でダウンロードが可能だ。

Silverlight 3のポイント

Silverlightは、アドビシステムズのFlashのように、Webブラウザ上でリッチコンテンツを利用するための技術だ。ブラウザのプラグインとして動作し、Silverlightランタイムをインストール済みの環境であれば、クロスプラットフォーム、クロスブラウザで動作する。

新バージョンとなるSilverlight 3では、新たにH.264形式の動画、720pのHD動画をサポート。より高画質な映像をSilverlight上で再生できるようになった、フルスクリーン再生もサポートしており、Silverlight 2から対応されているDRMと組み合わせることで、高画質かつセキュアな映像配信サービスが実現できる。

さらに「アウトオブブラウザ」が追加された。これは、通常はブラウザ上で動作し、インターネットに接続した状態での利用が前提のSilverlightアプリケーションを、ローカル環境に保存し、あたかもローカルアプリケーションのように動作させる機能だ。デスクトップやスタートメニューに登録することも可能だ。

アウトオブブラウザとしてローカルアプリケーションとして動作しているSilverlightのゲーム

ブラウザとは独立した別画面で動作し、オフラインでも利用できる。オンラインになったらデータを同期することも可能だ。アウトオブブラウザ機能の利用には、元となるSilverlightアプリケーションにいくつかのコードを追加する必要がある。

Silverlight 3ではさらに、グラフィックス機能、アニメーション機能、3D機能を強化。60個以上のコントロール用コンポーネントが含まれている。このため、アプリケーション開発がより迅速に行えるという。

さらに開発環境の「Expression Blend 3」のプレビュー版も公開され、これを利用することでSilverlightアプリケーションの開発がより効率化でき、開発者やデザイナーのワークフローと生産性を大幅に改善できるとしている。

発表にあわせて国内で開催された説明会で米Microsoftのアジア地域サーバー&ツールビジネス担当UXプラットフォーム&ツール戦略ゼネラルマネージャーのフォレスト・キー氏は、Silverlightのリリース後18カ月で、3億件以上のダウンロード数、40万以上の開発者・デザイナーがアプリケーション開発を行っていると話し、順調に導入が進んでいる点をアピールする。

国内でも、アカマイやヤフーによる映像配信などがSilverlightによって行われている。キー氏は「パートナーのエコシステムが非常に重要」として、今後もSilverlightの利用拡大に向けて注力していく意向を示している。

Silverlightでサービスを提供しているヤフーのマーケティング本部長・友松重之氏は、3月に開始したリッチコンテンツ広告に触れつつ、「やっと準備が整った」(友松氏)ことで、ヤフーとして全社的にSilverlight向けサービスを提供していく意向を示している。3月16日からは、野球のWBC(ワールドベースボールクラシック)特集として、日本戦のハイライトをSilverlightで映像配信しているほか、「2009年春オススメ映画特集」として、「ひぐらしのなく頃に誓」公開にあわせて前作の映画全編、「レッドクリフ PartII」にあわせた特典映像、「ルーキーズ」出演者の独占映像などを公開している。