「3.3」、「4.1」ユーザが知っておくと便利な「QuarkXPress 8」のチップス

今回から数回に分けて、「QuarkXPress 8」を徹底攻略する。3月14日に発売された『QuarkXPress 8公認ガイドブック』(弊社刊)の筆者のひとりである宮崎綾子が、様々なテクニックを紹介していく。今回は「3.3」、「4.1」などの旧バージョンのユーザー向けに、QuarkXPress 8の便利なチップスを紹介する。

Mac OS 9/クラシック環境を温存させている印刷会社や制作会社にとって、これからMac OS Xへ移行して、QuarkXPress 8の環境を整備するということは、不安や躊躇があるかもしれない。また、現在は「InDesign」を使っているが、アップグレード代も高額なので、久々にQuarkXPressでもいいのかな……と思っている人も同様な気持ちだろう。そこで、「3.3」、「4.1」の時代のユーザがQuarkXPress 8に返り咲きするときに知っておくと便利&安心なチップスを紹介してみよう。

様変わりしたツール群も、いくつかの設定でこれまで通りに使える!

QuarkXPress 8では、インテリジェンスな操作性を指向してツール群が刷新された。旧ユーザーでは、まずこの変化に戸惑う人が多いようだ。

QuarkXPress 4.1のツールパレット(図左)と、QuarkXPress 8のツールパレット(図右)。8ではツールがずいぶん小さくなっている。サブメニューを開くとほとんどのものはそちらへ移動していることがわかる

QuarkXPress 8のツールの最大の特徴は、自動的にツールが切り替わる点だ。アイテムツールを選択していてもコンテンツをダブルクリックすればコンテンツツールに、テキストボックスをダブルクリックすればテキストツールに、とコンテンツに合わせてツールが切り替わる。また、commandキーを押せば一時的に選択ツールに戻る。このようにツールパレットから選ばずとも、コンテンツによってツールを切り替えられるのだ。3.3では手のひらツールではアイテム選択さえできなかったわけだから、隔世の感を禁じ得ないだろう。

これはなかなか良い機能なのだが、慣れないうちは「知らないうちにツールが切り替わる!」と戸惑うこともあるかも。その場合は、メニューバーの「QuarkXPress→環境設定」で「環境設定」ダイアログを開き、「印刷レイアウト」ペインの「ツール」でアイテムツールをダブルクリックし、「アイテムツール」設定を開く。次に「ボックスをダブルクリックしたときのアクション:」で「設定ダイアログを開く」に切り替えよう。するとツールが勝手に切り変わることがなくなる。

環境設定ダイアログの「印刷レイアウト」ペインの「ツール」でアイテムツールをダブルクリックする

このダイアログは一番最初にアプリケーションを起動し、ツールでダブルクリックしたときも表示される

次は、ツールを自分で切り替える操作だ。おそらく、旧QuarkXPressユーザはcommand+tabキー/shift+command+tabキーを使ってツールを切替えていただろう。このショートカットキーは、Mac OS Xではシステム側で「アプリケーションの切り替え」に使われるため、無効となった。QuarkXPress 6以降ではさらにoptionキーを加えればよいのだが、ハッキリいって、そんなにたくさんのキーを同時に押すのはツライ。以前通りに操作したいという方は、個人責任になるが、APPLICATION ENHANCER 2.5というシステム拡張ツールをインストールの上、そのプラグインPull Tabをインストールすれば、Mac OS Xの「アプリケーションの切り替え」が無効にできる。ただし、OSの仕様をいじる事になるので、あくまで自己責任で(筆者の使用しているLeopard環境ではとくに問題なく動いている)。

APPLICATION ENHANCERとPull Tabをインストール。これらはシステム環境設定としてインストールするのだ。似たようなアプリケーションがありそうで意外と他が見つからない

さらにダメ押しで、「リンクツールなどサブメニュー内に移動されたツールが選べない」という人は、英数字モードで1文字で使えるアドビ風なショートカットキーも今回追加されたので、そちらを積極的に覚えてほしい。たとえば、テキストツールの裏側にあるサブツールは、「t」を押すとトグルで切り替わる。

ツールのショートカットキーは、ツールヒントの最後に表示される英字

QuarkXPress 8公認ガイドブック

さて、QuarkXPress 8攻略の第1弾、いかがだったろうか? QuarkXPress 8でどんな効率アップが図れるのか、自社にスムーズに導入活用するにはどのように使っていけばいいのかお悩みの方は、3月14日に発売された『QuarkXPress 8公認ガイドブック』をぜひ手に取ってほしい。QuarkXPress 8をフルに活用するために必携の本書は、新機能の紹介はもちろんのこと、3.3、4.1ユーザのための移行テクニックや、ワークフロー解説なども盛り込まれた幅広いコンテンツで、ユーザをトータルにサポートする作りとなっている。「そんなの知ってることばかり」という方もご安心を。QuarkXPressのカラー管理やXMLがベースとなる新機能ジョブジャケットや、Flashデータを書き出すインタラクティブレイアウトなどについて、きちんと触れているのは本書だけ。まさに、QuarkXPress 8の特徴を網羅した解説書となっている。