日本ヒューレット・パッカードは3月5日、エントリレベルの事業継続/災害対策ソリューションとして、仮想テープライブラリの新ラインナップと「低帯域レプリケーションライセンス」の提供を開始した。コスト削減が叫ばれる中にあっても、事業継続や災害対策のためのデータバックアップの重要性は非常に高く、またデータ量は増大する一方にある。日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部 本部長 富岡徹郎氏は「顧客のデータを守るのはHPの社会的責任。いったんなくしてしまったビジネスの重要なデータを元に戻すには、膨大な手間とコストがかかる。データを保存し、それをいつでも戻せる状態にしておくことは、事業継続の重要なポイント」と語る。今回の新製品/新機能は中規模以下のシステムにフォーカスしたエントリレベルの遠隔バックアップソリューションであり、従来より低価格で提供できる点が特徴だ。
新ソリューションの内訳は以下の通り。
仮想テープライブラリ | HP StorageWorks VLS9000 7.5TB/10TB System | 1,134万円~ |
---|---|---|
HP StorageWorks VLS9000 30TB/40TB Capacity Module | 2,205万円~ | |
HP StorageWorks D2D4122 Backup System | 483万円~ | |
低帯域レプリケーションライセンス | VLS Replican License | 336万円~ |
D2D4122 Replican License | 168万円~ |
新ソリューションの仮想テープライブラリは、ディザスタリカバリを意識した「HP StorageWorks」ファミリのラインナップ中、「いままで提供できずにいた穴を埋める存在」(日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部 プロダクトマーケティング 宮坂美樹氏)の製品群。テープよりも運用の利便性が高いディスクを利用し、より簡潔に、かつひんぱんにデータのバックアップを取ることが可能になる。またディスク間で遠隔バックアップを行うことで、テープを物理移動させる必要がなくなり、運用負荷を軽減できる。
ディスク間の遠隔バックアップを支える機能がデータ重複排除技術を使用した「低帯域レプリケーション」だ。バックアップシステム側データの重複排除を行った差分データを、低帯域IP WANネットワーク経由で遠隔サイトに転送、レプリケーションを実行する。このとき、重複データをポインタに置き換え、冗長ブロックを削除するところがポイントだ。ファイルレベルではなく、ブロックレベルで実行するので、保存されるデータの容量を「最大1/50まで」(宮坂氏)削減可能になるという。この機能を利用できるライセンスが、今回のソリューションから提供される。
日本HP ESS Presales 統括本部 ストレージソリューション本部 シニアBC&Aスペシャリスト 若松和史氏は、「今回提供するソリューションは、実際にHPのデータセンター間で使われたショーケース。我々が提唱する"アダプティブ・インフラストラクチャ"を実地で行くものであり、HPは3年間で10億ドルのコスト削減が実現できている」としており、同ソリューションによるバックアップ運用の完全自動化が、コストとリスクの削減が同時に実現し、事業継続/災害対策に大きく貢献すると自信を見せている。