3月6日より京橋のINAXギャラリー1にて「チェコのキュビズム建築とデザイン 1911-1925」が催される。本展は、パヴェル・ヤナーク、ヨゼフ・ゴチャール、ヨゼフ・ホホルといったキュビズム建築運動の中核的存在であった3人の作品を通して、日本ではあまり紹介されてこなかったキュビズム・スタイルを紹介するというもの。

20世紀初頭のパリにおいてピカソらがはじめたキュビズム。その影響を受け、建築から工芸の分野にまでキュビズムが及んだチェコにおいて、当時の若い建築家たちは、キュビズム建築運動を先導していった。パヴェル・ヤナークは、キュビズム建築宣言と呼ばれる論文「The Prism and the Pyramid(多角柱と角錐体)」を1911年に発表。キュビズム建築を理論的に牽引しながら、建築への実現を果たした。ヨゼフ・ゴチャールは最も多くキュビズム建築の作品を残し、完成度の高さを誇る建築家のひとり。ヨゼフ・ホホルもまた、キュビズムに影響を受けて新たな造形表現を建築に展開したひとりで、ダイナミックな代表作を残している。また、キュビズム建築家たちは、建築物だけでなく、室内におかれる家具や照明器具、陶磁器などもデザインし、キュビズム的な造形美を大胆に表現した。

会場では、パヴェル・ヤナーク、ヨゼフ・ゴチャール、ヨゼフ・ホホルといった3人の作品を10年以上にわたり撮影し続けた写真家、鈴木豊氏の写真を通して、キュビズム建築の豊かな造形を細部に至るまでを紹介。初公開となる物件だけではなく、その他、ヤナークによる椅子の傑作や陶器のレプリカも展示されることになっている。

並列する建物のようなものを、キュビズムのエッセンスを加えて改築。パヴェル・ヤナーク設計「ファーラ邸」(1913-1914) 写真:鈴木豊

伝統的な装飾を排し、鋭角的幾何学パターンで立体感を強調したファサード。ヨゼフ・ホホル設計「コヴァジョヴィチ邸」(1912-1913) 写真:鈴木豊

会期 2009年3月6日(金)から5月23日(土)
会場 INAXギャラリー 1
入場料 無料
開場 10時~18時