警察庁は12日、2008年1年間に全国の警察が認知したインターネット上の自殺予告が、2007年に比べ75人増の196人だったと発表した。このうち、ISPなどから発信者の情報開示を受け、包丁で体に傷をつけて出血したところを発見し病院に搬送して命を助けたり、現場に急行して集団自殺前に自殺を思いとどまらせたりして警察が自殺を回避させた人は、前年比23人増の95人に上った。
自殺予告は、121人がネット掲示板(2007年比53人増)、67人が友人や警察へのメール(同19人増)、8人がチャットを使用。
自殺を実際に図った人は10人で、うち死亡者7人、救護などにより存命した人は3人。
自殺の恐れがあるとして、警察が本人を説得したり、家族への監護依頼などの自殺の防止措置を実施し、自殺を回避させた人は92人だった。
上記以外の94人は、自殺の恐れのないいたずらや、書き込み者が判明しない場合などだった。
救護により存命した人と自殺防止措置によって自殺を阻止した人数を合わせると、前年比23人増の95人が、警察などによって救護されたことになる。
自殺を図った後に救護した例としては、自殺予告のメールを受信した警察が、ISPへの照会により判明した自殺予告者に警察官を派遣。包丁が床に落ち、周辺に血痕が見られた。布団で寝ていた予告者は、薬を大量に飲んでろれつがまわらない状態であったことから、救急車で搬送して救護した。
また、自殺を未然に防いだ例としては、掲示板に集団自殺を呼びかける書き込みがあると通報を受けた県警が、サイト管理者などへの照会により書き込み者を割り出し。書き込み者の住所が管轄外であったことから、他の県警に警察官の派遣を依頼。この県警では、書き込み者とともに、自殺の呼びかけに呼応して集合場所に現れた1人に自殺を思いとどまらせた。
自殺者は1998年以来、2007年まで10年連続で3万人超が続いている。これに比例する形でネット自殺予告も増えていると考えられ、書き込みやメールがあってからの迅速な対応が求められている。