SAS Institute Japanは2月5日、2009年度上期ビジネス戦略発表会を開催し、SASのワールドワイドの売上高が対前年比5.1%増の22億6,000万ドルを記録し、33年連続増収を達成したことを明らかにした。

SAS Institute Japan 代表取締役社長 吉田仁志氏

同社の代表取締役社長を務める吉田仁志氏は、昨今の不況のなかで同社が成長を持続した要因について、「当社は株式を公開していないため市場の影響を受けることなく経営を行うことができる。つまり、株主を考慮せず、顧客のことだけを考えてビジネスに集中できるというわけだ。また、顧客が抱える経営課題を迅速に解決する製品を提供してきたことも大きい」と分析して見せた。加えて、同社の製品のライセンスは売り切りではなく、更新の形態が取られているが、更新率が92~93%と高いことも、堅調な収益を支えているという。

同氏は、2009年上期の戦略として、「企業が不況下で直面する経営課題への対応するために、経営分析フレームワーク「Business Analytics Framework」によって「予見力」を提供していきたい」と述べた。特に注力していきたい経営課題は、コンプライアンスと収益拡大とのこと。

同社では、予見力を、環境の変化をデータに基づいて分析し、将来を予測し、先手を打つ行動につなげるための力と定義している。

「現在、不況ではあるが、企業においてビジネスを拡大するための"戦略的IT投資"の優先順位は上昇している。戦略的ITは、当社が正にこれまで手がけてきたテーマにほかならない。経営課題を具体的かつ直接解決できる策を提供することで、戦略的IT投資への意欲を喚起していきたい」(吉田氏)

2009年上期戦略の具体的な重点ポイントとしては、以下の4点が挙げられた・

  • 社会的に緊急性の高い分野へのソリューションを提供
  • パートナー協業の強化
  • コンサルティングの強化
  • SAS 9.2をベースにした個別製品の強化

SAS Institute Japanの2009年上期戦略の重要ポイント

SAS 9.2のデータクレンジング機能の強化については、今年前半終わりから後半初めにかけて行われる見込みだという。同社のマーケティング部本部長を務める樋渡純一氏は、「SAS 9.2のデータクレンジング機能はテキストマイニングに特化している。日本語をテキストマイニングに対応させるのは難しく、実は、日本語版以外のバージョンにはこの機能がすでに搭載されている」と説明した。

記者からの「自身の体験から今日の景気をどう感じているか」という質問に対し、吉田氏は「2008年秋ごろから顧客の製品購入までの決定機関が延びており、当社も設立以来、最も厳しい状況にあるのは確か。しかし、不況をチャンスに変えていきたい」と今期の意気込みをアピールした。