積水ハウスは28日、洞爺湖サミットで世界に披露された環境対応住宅「ゼロエミッションハウス」を一般に公開する。すでに同社の関東工場(茨城・古河市)「ゼロエミッションセンター」への移設が完了しており、公開後は「茨城県次世代エネルギーパーク」の見学施設になる。

「ゼロエミッションハウス」

ゼロエミッションハウスは、最先端の創エネ機器と省エネ・リサイクル技術を組み合わせた住宅。創エネ機器のCO2排出削減効果で、住宅の建設・居住・解体・廃棄の過程で排出されるCO2量を相殺し、カーボンニュートラルを目指しながら快適な生活を実現できる点を特長としている。創エネ機器として、大容量瓦型太陽光発電システム、エネファーム(家庭用燃料電池システム)、小型風力発電機を装備。省エネ技術として採用されている、高効率な有機EL照明や窓からの熱放出を抑える真空断熱ガラス、自然光を利用する光ダクトなども見ることができる。見学は無料、要予約。詳細は積水ハウス公式サイトで案内されている。

有機EL照明。発光効率が高く、LEDとの比較においては広く均一な明かりを得られるというメリットがある(山形県産業技術振興機構有機エレクトロニクス研究所)

成長のスピードが速く再生しやすいという竹素材のフローリング

5㎝厚のグラスウール(一般的な断熱材)と同等の断熱性を持つという真空断熱ガラス。窓ガラスの一部には、透明薄膜太陽電池が取り付けられている(ガラス:日本板硝子/積水ハウス 太陽電池:日本テレコミュニケーションシステム)

屋根材一体型太陽光発電システム(シャープ/積水ハウス)

間取り設計上、窓がつくりにくい部屋でも自然採光が可能という光ダクト(マテリアルハウス)

一部にグラスウールの16倍の断熱性を持つ真空断熱材を使用したハイブリッド断熱ボード(アキレス/パナソニック)

家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」(東京ガス/パナソニック)

30~40日の日照りにも耐えるというスナゴケを敷き詰めた屋根材(積水ハウス/新東)

建材の吸湿効果で除湿のためのエアコン使用を抑えるという内壁材(INAX)

小型風力発電機(ゼファー)

一般公開に先がけ行われたプレス向け見学会で、積水ハウス温暖化防止研究所 所長の石田建一氏は、「各国の報道関係者からは、『思っていたより未来っぽくない』というコメントが聞かれた」とサミット時の評判を明らかにした。これについて同社では、「普及のためには普通であることが重要」と好意的に受け止めているという。さらに石田氏は、「2050年には積水ハウスが建てる戸建住宅をすべて、(ライフサイクルにおいて)CO2排出ゼロの家にしたい」と、年間約2万戸を建設する業界トップメーカーとして地球温暖化防止にかける意気込みをにじませた。なお同社は、2010年に新築住宅における世帯あたりの居住時CO2排出量を、90年比-6%にする「アクションプラン20」を推進中だ。

今年4月には、ゼロエミッションハウスと同様の考え方で生活からのCO2排出ゼロを目指す「CO2オフ住宅」を発売した。CO2オフ住宅は、「省エネでCO2排出を減らし、創エネで相殺するというコンセプトは踏襲しつつ、技術と価格の両面で現実に落とし込んだ商品」(同社広報)。価格は、次世代省エネ基準の断熱性能を2割程度上回る高断熱・気密仕様、エネルギー効率の高い設備・太陽光発電システムの導入分を含め、標準的な仕様よりも1割程度アップするという(燃料電池については別途エネルギー供給事業者に支払う設置、保守費用等が発生)。