Ho-Soo Lee氏

10月21日から2日間、英Symbianが英ロンドンで開催した展示会「Symbian Smartphone Show 2008」では、SymbianラインセンシーがSymbian搭載端末を展示し、Symbian OSへのコミットを表明した。21日の基調講演では、携帯電話市場でナンバー2の座を競う韓国Samsungと米Motorolaが登場した。

Samsungからは、テレコミニケーションビジネス部門モバイルソリューションセンター担当上級副社長のHo-Soo Lee氏がスピーチを行った。

Samsungはスマートフォンを、「端末のコンバージェンスの結果」と位置づけているという。携帯電話だけでなく、家電や周辺機器での広範な製品・技術をもつ同社は今後、端末同士がシームレスにやりとりする構想を描いている。その1つとして、「Freeplay」コンセプトを紹介する。Blu-ray規格をサポートし、リビングルームのTVのHDコンテンツがモバイル端末、MP3プレイヤーなどのビデオコンテンツ再生可能な端末に最適に圧縮してストリーミングされるものだ。

また、端末の将来像として、ウェアラブル端末についても語った。柔軟性のある画面を持つ腕時計のような端末で、リアルタイムビデオブロードキャスト、HBC(Human-body-communication)などの機能を持つ。バイオメトリクスセンサーにより血圧、血糖値を測り、そのデータを交信する、などのことを描いているという。

メタボ対策に便利そう? Samsungが提唱するウェアラブル端末

モバイルマルチメディアの時代、家電などの製品を持つことは競争優位になるとSamsungは見ている。「リーダーになる好位置につけている」とLee氏は言う。

Samsungは今年、端末戦略として6つのデバイスセグメントに分けて製品を投入していく方針を打ち出した。そのうち、ベーシックなセグメントを除く4セグメントでSymbian/S60を採用するという。「エントリ機種以外のすべての製品ポートフォリオでSymbianとS60にコミットする」とLee氏。

Lee氏はここで、Symbian/S60ベースの携帯電話としては初の8メガピクセルカメラを搭載した「i8510 INNOV8」を紹介した。

S60ベースの新端末「i8510 INNOV8」

8メガピクセルカメラは9倍デジタルズームに対応、スマートリーダにより名刺スキャンも可能。メモリは最大32GBで、2.8インチLCD画面、A-GPSも搭載した。バッテリ持続時間も特徴で、2.5Gでは連続通話9時間、3Gでは5時間という。DLNA(Digital Living Network Alliance)をサポート、対応したTVなどの端末に写真やビデオなどマルチメディアコンテンツを転送できる。

Symbian/S60にコミットするSamsungにとって、Symbian Foundationの設立は「大きなチャンス」という。「モバイルコミュニティや開発者など、業界全体にとって大きな機会を提供する」とLee氏。

そこでLee氏が強調するのが開発者向けの取り組みだ。

Samsungは2003年にSymbianライセンシーになって以来、Symbianベース携帯電話の開発知識を構築してきた。とLee氏。「開発者に最高のツールとサポートを提供していく」と続ける。

それにあたりSamsungでは今年初め、新しいチームを作成し「Samsung Mobile Innovator(SMI)」として開発者向けの取り組みを進めてきた。Symbian OSの長期的成功のためのSamsungが貢献できるという。Lee氏はここで、次のステップとして、開発者コミュニティ向けのWebサイトを正式にローンチしたことを発表した。開発者にリソースとツールを提供することで、蜜な関係を構築するのが狙いだ。「ビジネスと技術の両方から支援していく」とLee氏。誰でも無料で利用でき、パートナー企業向けとしてコアプログラムも用意した。

SMIのWebサイトは、開発支援としてリモートからの端末テストなどができる「lab.dev」、コアメンバー向けに専門知識をオンラインで提供する「ask.dev」、開発したアプリを提供するマーケットサービス「market.dev」の3種類のサービスを提供する。これらを利用して、開発者は自社アプリケーションの差別化から提供までを行えるという。

10月21日より登録を開始した。オープニングを記念して、Symbian Signプロセスをフリーで提供するという。