Yahoo! Developer NetworkのTechnical Evangelist, Mattt Thompson氏がGears, BrowserPlus, and Web 3.0, babyにおいて彼の考えているWeb 3.0のビジョンを紹介している。主張されている内容は現在の技術をベースにしており、近未来の話であり、現実可能な内容であるようにおもえる。

現在のWeb 2.0と呼ばれる潮流を支えている技術的な根底のひとつはAjaxだ。もちろんAjaxがすべてではないし、通信しないためにAjaxに該当しそうにない場合もあるが、大枠でとらえるとAjaxと呼ばれる技術に分類されるまたは関連していることが多い。Ajax技術が活用されたWebアプリケーションを毎日使うようになった今日では、この潮流がはじまる前のインターネットには戻れない。ボタンを押すごとに、リンクをクリックするごとに、リストを展開するごとに、サーバからのデータ返信が完了するまでページ描画が待たされる世界は我慢できないだろう。

同じようにWeb 3.0の世界にどっぷり使ってしまえば、Web 2.0の世界にはもう戻れないというわけだ。Mattt Thompson氏はGears, BrowserPlus, and Web 3.0, babyにおいてその鍵を握るのはGearsYahoo! BrowserPlusだと考えていることを説明している。

ノートPCを持って移動する場合、Gearsを活用したオフライン機能は欠かせないものだ。一度この利便性になれてしまうとやはりこれがない世界にはもう戻りたくない。Yahoo! BrowserPlusはセキュリティの関係上完全にオープンなものとしては公開されていないが、いずれはなんらかのセキュリティモデルを確立したものがOSSとして公開されるだろう。Yahoo! BrowserPlusの提供するデスクトップとブラウザのシームレスな統合も魅力的なものだ。ちなみにGearsとYahoo! BrowserPlusは競合するサービスと捉えられることも多いが、GearsはAjaxアプリケーションへオフライン機能の提供、Yahoo! BrowserPlusはサービスベースのブラウザ-デスクトップ間統合の実現といったように実装方法や方向性がやや異なっている。

Mattt Thompson氏の説明内容をまとめると、GearsやYahoo! BrowserPlusなどを活用してインターネット・オフライン・デスクトップをシームレスに統合していつどこにいてもコネクションを気にすることなくリッチUIを経由した操作が可能になる世界、それがWeb 3.0のビジョンということになる。最終的にどの技術がその主流を締めることになるにせよ、大枠の方向性はそのとおりといえるかもしれない。