今夏以降にリリースされる新Webブラウザでは、HTML5で規程される機能をどこまでサポートするのかが注目される。HTML5自身はまだ策定段階にあるが、すでにデファクトスタンダードとして採用される機能が見えはじめている。大きなところではcanvas要素、video要素、audio要素だ。

現在のところWebブラウザにおける動画やオーディオの再生はプラグインを使って実現されている。動画であればFlashプラグインやOSで提供されているマルチメディアフレームワークを使った再生がおこなわれる。HTML5でvideo要素やaudio要素などが明示的に盛り込まれた場合、従来通りプラグインで対応するのかWebブラウザでネイティブに対応するのか、それともOSが提供しているマルチメディアフレームワークを活用するのかが注目されるポイントとなる。

実装の手間からいえばOSが提供しているフレームワークを活用する方法が現実的だ。どういった実装にするかMozilla CEO, John Lilly氏はまだ未定と説明しながらも、開発者であるChris Double氏はLinux版ではGStreamer、Windows版ではDirectShow、Mac OS X版ではQuickTimeを使うといったようにOSが提供しているフレームワークを活用する方法で実装が進められていることを紹介している。

この状況に新しい動きがあった。Chris Double氏がTheora Video Backend for Firefox LandedにおいてFirefoxそのものにTheoraおよびVorbisのサポートが追加されたことを伝えている。これはつまりvideo要素ではTheora+Vorbisが、audio要素ではVorbisがFirefoxによってネイティブに演奏できるようになることを意味している。

まだ有効にされたばかりでこれから開発を進める必要があるとしているが、大きな変更が発生しないかぎり2008年末か2009年頭にリリースが予定されているFirefox 3.1では同実装がデフォルトで有効になるとみられる。プラグインをインストールすることなく使えるようになれば、これらフォーマット(Theora、Vorbis)が動画やオーディオのデフォルトフォーマットとして広まる可能性も高まる。同じ目的でさらにほかのコーデックが追加される可能性もあり、今後の動きに注目しておきたい。