デジタルハリウッド大学・秋葉原メインキャンパスにて15日、映画『カンフーパンダ』のマーク・オズボーン監督を招いた特別講義が行われた。
今回講演を行ったオズボーン監督は、大学の卒業制作でストップモーションアニメや、手書きのアニメを組み合わせた作品『Greener』を制作し、様々な映画賞を受賞した。その後、監督した短編アニメ『More』は、自主制作にも関わらずIMAXシアターで上映された初めてのストップモーションアニメ作品となる。それらの功績が評価され、3年前にドリームワークスから映画『カンフーパンダ』の監督に抜擢された。ドリームワークスは『シュレック』シリーズ、『マダガスカル』など最新CGアニメ作品を世に送り出し続けている大スタジオ。そんなドリームワークスの大作の監督を務めたオズボーン氏が、将来クリエイターを目指すデジタルハリウッドの生徒に特別講義を行った。映画『カンフーパンダ』の来日記者会見終了後、オズボーン監督は、デジタルハリウッド大学に現れた。
「とても緊張したけど、いいチャンスだと思った」
オズボーン監督は、講義の最初に映画『カンフーパンダ』のオファーがきたときのことをこう語った。
「今回の作品は、私にとってCGを使った初めての映画でした。だからとても緊張しました。予算も多いハリウッド大作だったので少しうろたえましたが、いいチャンスだとも感じたんです。ストーリーに大きな可能性を感じたし、キャラクターもいいと思いました。また主役の声を担当するジャック・ブラックのファンなので、彼となら凄くいいキャラクターが作れると感じました。それに僕は普段、映画に関しては少人数、低予算で作品を作っている人間だから、他の監督とは違ったアプローチのハリウッド映画が作れるのではないかと思ったんです」
オズボーン監督は、アル・ヤンコビックのミュージックビデオや、『スポンジ・ボブ』シリーズの映画やTVドラマの実写部分の監督などを経験しているが、これまでアニメ映画は自主制作のみ。そんなオズボーン監督が、どうしてハリウッドの大作の監督に大抜擢されたのだろうか。
「やはりストップモーションアニメの短編作品『More』が、多方面から注目されたことが大きな要因になったのだと思います」
「才能のある多くの人たちと一緒に仕事をすること」
ハリウッド映画と自主制作では、制作時間や予算の規模に大きな違いがある。しかしオズボーン監督はそれ以外にも大きな違いを感じていたようだ。
「一番の違いは、才能のある多くの人たちと一緒に仕事をするということでした。みんなそれぞれが映画のことを真剣に考えている。そういう人たちと気持ちをひとつにしなければいけなかったんです。"この映画をみんなで作るんだ"、"いい映画を作るんだ"とみんなに信じさせることが大切だと感じました。またそういった協力体制を一貫させて、継続させていくことが重要なんです。それが大変でした」