カナダ・トロントを本拠に、通信機器によるネットワークソリューションを国際的に提供するNortelがまとめた、企業がテレワークを導入する際の手引書がこのほど公開された。従業員のワークライフバランス実現を目的に、テレワークを導入して以来15年になる同社では、現在80%の従業員がテレワークを実施しており、うち10%はテレワークによる勤務を基本に行っているという。その結果、同社がまとめたテレワークによる具体的な効果として、次のようなものが挙げられる。
- 週に1回テレワーク勤務している従業員による、燃料費削減効果は年間で500ドル(約5万3,000円)
- テレワークによる生産性の向上効果は15%。テレワーカーの94%が15 - 25%の生産性向上効果を実感
- テレワークにより従業員の仕事に対する満足度が11%上昇
- フルタイムテレワーク勤務者によって削減されたコストは年間で約9,000ドル(約96万円)
- テレワークによるエネルギー削減効果は年間2,200万ドル(約23億4,500万円)
- Nortelの良い点として、従業員の18%が「フレキシビリティ」を一番の理由に挙げている
- 同社のテレワーク従業員によるCO2削減効果は年間1万8,070トン
また、同社では企業のテレワーク導入のTipsを項目別に紹介。それによると、企業が用意するプログラム体制として望まれるものとして、作業スペースなどの家庭における仕事環境や、デイケアや老人ケアなどのライフスタイルで満たすべき必要条件を列挙したチェックリストを示すなど、従業員に対する教育プログラムの提供を挙げている。そのほか、リモートでのテクニカルサポートなど、365日24時間体制のサポートヘルプデスクの提供の必要性も提言している。
また、経営者や従業員がテレワークが上手く行われているかを評価する指標として、次のような質問を行うことを提案している。
- 経営者はテレワーク従業員のサポートをどのように行えるか? そのために必要なトレーニングとしてどのような種類のものがあるか
- テレワークを支援するためにどのような課題があるか
- どのようなフィードバックメカニズムが必要か
- 業務内容がテレワークが可能か
- テレワークに対する素養やモチベーションがあるか
- どうやって時間の管理を行えるか
- 従業員がテレワークを望み、業務がそれを必要としているのか
一方、会社のような完璧なオフィス環境を実現することが難しいテレワーカーにとって最低限配慮すべきポイントでは、オフィススペースの把握と、実際どれくらいのスペースを必要とするのかを再検討することを推奨している。また、チームのための共同スペースを用意し、維持することも提案されている。
効率的なテレワークの遂行のためには、在宅勤務時だけでなく、オフィスにおいても不可欠とされるツールがある。中でも、Nortelでは自社の主力サービスのひとつでもある、「ユニファイドコミュニケーション(UC)」ツールの導入の必要性を説いている。UCとは、電話、FAX、電子メール、携帯電話、ビデオ会議システムなどのコミュニケーションツールを統合したソリューションシステム。居場所に関わらず、従業員の勤務状態を明確にすることにより、業務の生産性の向上に貢献する。具体的には、VoIPの導入により、通信コストの削減や、音声・ビデオ会議、場所にとらわれないリアルタイムの共同作業を可能にするほか、VPNクライアントソフトを標準で導入することにより、すべての端末から認証を行い、セキュアな企業ネットワークを実現することを提案している。また、世界中のどこからでも従業員がアクセスに使うISPをサポートすることを可能にするツールが必要だとし、同社が提供するホスティングサービス「Remote Access Manager(RAM)」を紹介している。