日立製作所とNTTファシリティーズは、データセンターの省電力運用管理基盤システムを共同で開発し、2009年3月の提供を目指していくことを発表した。また、今回開発する運用管理基盤のインタフェースを2008年度中に公開するという。

今回の協業の概要

今回の両社の協業は、データセンターの空調設備を提供しているNTTファシリティーズと、サーバを提供している日立が、共同でデータセンターの省電力化に取り組むというもの。具体的には、空調設備の消費電力、設定温度、負荷率、異常検知などと、サーバの消費電力、温度、CPU利用率、異常検知などを、日立の統合システム運用管理ソフト「JP1」で管理し、IT機器の負荷状況や業務のスケジュール状況に応じた空調設備機器の運転制御、外気温度や水温などで変化する空調設備機器の稼動状況に応じたIT機器の運用制御など、データセンター全体のきめ細かい運用を行っていこうというもの。

「JP1」でIT機器と空調機の稼動状況管理と運転制御を行う

両社は、2009年3月をめどに、日立のブレードサーバ「BladeSymphony(ブレードシンフォニー)」と、NTTファシリティーズの空調機「FMACS-V」「FTASCL(エフタスクル)」において、省電力運用管理基盤システムを提供したい考えだ。

NTTファシリティーズ 取締役 データセンター環境構築本部 本部長の小泉泰之氏は「空調システムだけで省エネを進めていくには限界がある。IT機器と空調システムがコミュニケートすることにより、さらなる省エネが図れる」と語り、日立製作所 理事 情報・通信グループCSOの北野昌宏氏は「全体的なポリシーに基づいて、IT機器運用とファシリティ運用のシナジー効果を出していきたい」と述べた。

NTTファシリティーズ 取締役 データセンター環境構築本部 本部長 小泉泰之氏

日立製作所 理事 情報・通信グループCSO 北野昌宏氏

IT機器と空調機の連携による省エネを実現するには、3つのステップがあるという。ステップ1は、IT機器と空調機の消費電力、過剰冷却等の無駄な運用状態、アラートの統合監視など、状態を「見える化」すること。ステップ2は、過剰な低温設定の是正や、特定のサーバだけに負荷がかかることにより、熱だまりが発生しないようワークロードの平準化を図る「静的な最適化」。そしてステップ3は、サーバの稼働率が低い場合は、稼働サーバを片寄せし、サーバと空調機の一部を停止させる「動的な最適化」だ。

IT機器と空調機連携の3つのステップ

両社はこの技術の完成後、まずはNTTグループと日立グループのデータセンターに適用し、その後一般のデータセンターへも提供していく。また、今回開発するインタフェースを開示し、データセンター運用の省電力化を先導していきたい考えだ。

NTTファシリティーズによれば、今回の開発する省電力運用管理基盤システムを他のサーバや空調機にすぐに適用することは難しいかもしれないが、インタフェースを公開し、ベンダー間でデータベースの共通化できれば、大きなメリットがあるという。